投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉の最初へ 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉 287 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉 289 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉の最後へ

〈恥虐の花嫁・銭森春奈〉-2

『弔いのつもりだったのか?まあ、お前らの実力じゃ俺達には敵わないんだよなあ?』

「ッ!!!」


負けるはずの無い相手の勝ち誇る姿を、春奈は見ているしかない。
一瞬の油断が、勝利を確信した驕りが、敗北を招いてしまったのだ……。


『腕でも足でも撃てば良かったのによぉ?大物ぶって格好つけっから、この俺に倒されんだよぉ!』

「あぁぁッ!!煩い!!煩いぃ!!」


あの夜の失態を悔いている心中を痛いほど知っているからこそ、専務は春奈を小馬鹿にしてみせた。
それは専務が敗北の影に怯えたからに他ならない。
あの一瞬の抗いが偶然にも功を奏しなかったら、間違いなく専務も八代も今頃は逮捕されていただろう……。


『クックック……麻里子も悔しかったと思うぜ?調子にのって甲板まで上がったまでは良いものの、俺に拳銃を向けられて、しかも味方の八代はいつまで経っても助けに来ない……「美津紀を返せ」なんて叫ぶ姿は涙物だったよ……』

「……う…煩いって…言ってるのよ……」


傷口に塩でも塗るように、専務は過去の話を始めた……それは航海の最中でも話していなかった情景で、この卑怯者達の策略への憤怒と、まんまと嵌まってしまった姉妹の悔しさに、睨む眼光は涙に霞んだ……。


『ほら、あの鉄パイプは何だか分かるか?これに麻里子は手足を結ばれて吊るされたんだぜ?お前と同じスーツを着たまま、マスクを被らされてなあ?』

「!!!!」


春奈の脳裏には、同じスーツを纏った在りし日の凛々しい麻里子の姿が浮かんだ……どこまでも強く、憧れだった姉……あの姉が頭上にぶら下がる鉄パイプに吊られ、この鬼畜達の凌辱を受けた……その凄惨な現場に、今、監禁されている事の衝撃に、春奈の視界は真っ暗になってしまっていた……。


『……あ、まだ置いたままだったか?ほら、これが麻里子が被ったマスクだ……』

「ッ!!!」


追い打ちを掛けるように、わざとらしくも部屋の隅に落ちていたマスクを拾うと、春奈の目の前に突き付けた……悍ましくも黒光りのする革マスクに春奈の表情は歪み、呼吸は不規則に寸断されて涙がポタポタと落ちた……それはマスクの後頭部の部分のファスナーに、明らかに女性の物と思われる毛髪が付着していたからだ……。


「……お姉…さんの……か…髪……」


その栗毛色の毛髪は、間違いなく麻里子の物……。

「必ず助け出す!」

それだけを思い、それだけの為に戦ってきた春奈が対面出来たのは、遺品とも呼べる髪の毛だけ……眼光は輝きを失い、徹底抗戦を訴える顔は威圧を忘れて泣き崩れた……。



〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉の最初へ 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉 287 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉 289 〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前