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氷炎の魔女・若き日の憂鬱
【ファンタジー 官能小説】

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三人の子ども達-3

 少し待ってくれと、しどろもどろに言うのが精一杯で、そのままロルフを置いて、走って帰ってしまった。
 自宅の部屋に駆け込んで扉を閉め、服も着替えずにベッドに寝転ぶ。

(い、いくらなんでも、唐突すぎるわよ!)

 ロルフのことは大好きだ。しかし恋愛対象に見た事はなかった。
 双子は大切な幼馴染で、それがシャルの中では最上級の立ち位置だったから。

 自惚れと言われるかもしれないが、自分の容姿は、そう悪くないと思っている。
 ただ、幼少で二級錬金術師となったシャルを、周囲の男性は恋愛対象としては敬遠した。
 たまに、遠方から王都に来た旅人などからは、声をかけられることもあるが、そういった相手が魅力的に見えることもなく、無視していた。

 それに、アンも昔から言っていたが、そもそも自分たちの父親に問題があるのだ。
 シャルの父ヘルマンときたら不老不死の美青年だし、双子の父ルーディおじさんだって、見た目も中身もとびきりいい男だ。
 男を見る眼が肥えてしまうのも当然だろう。

 十六にもなれば、周囲の少女たちの興味は恋話ばかりだ。
 早々に初体験を済ませてしまった子もいる。避妊薬を買いに行き辛いと、内緒で調合を頼まれたことも、一度や二度ではない。
 そしてシャルの目に、恋愛に一喜一憂する人達は、とても不自由そうに見えた。
 世の中には素敵な恋愛も、確かに存在するだろうが、少なくとも自分には向いていないように思えた。
 双子と気楽に遊んで十分に満たされるし、やりたい研究もたくさんある。
 シャルは四歳の頃には、すでに錬金術ギルドで個人研究室を貰い、各種の研究や外来患者の診察に明け暮れていた。
 錬金術ギルドは医療機関も兼任し、妊娠出産の関係を視ることも多い。通常は産婆に任せるが、逆子など難しい場合は手術をするし、悪阻が酷ければ薬草も処方する。
 だから子どもが男女のどういう行為によってできるか、知識と理屈だけなら、早すぎるほどの年齢で知っていた。
 それが与える快楽が強烈なため、子孫繁栄の目的よりも、愛情表現や娯楽で行われる方が多いことも知っていた。
 その一方で、自分もいつか結婚や出産を経験するかもしれないとは思っても、想像もつかなかった。
 所詮は生存本能の一種だと、どこか冷めた眼で眺めていたのも事実だ。

(困ったなぁ……)

『つがい』になってくれとは、いわば結婚を申し込まれたということだ。
 ついさっきまで自分の恋愛なんか考えてもいなかったのに、ハードルが高すぎる。
 それでも、ロルフは真剣そのものだったから、シャルも真剣に考えてみた。

 ……もし、ロルフと『つがい』になったら、やはり最初は恋人らしく手をつないで歩いたり、二人きりでデートをしたりするのだろうか。

 目を瞑り、自分にそれができるか想像してみる。
 昔はよく、ロルフやアンとよく手をつないで歩いた。今日だって二人で出かけたし、その辺りは今までどおりで問題ないだろう。

 ……さて、次はもっと濃密にあれこれをする段階……。

 ロルフに抱きしめられたり、唇にキスされたりする自分を想像した途端、またもや心臓が締め付けられるような感覚がし、動悸が異常に激しくなる。

(う、わ……なに、これ……!?)

 こんなに動揺したのは、いつぶりだろう。
 子どもの頃、魔獣使いの檻に狼化したアンとロルフが捕まって以来かもしれない。
 でも、あの時の怒りと恐怖が入り混じった焦りとは、なにか違う。

(じゃ……もっと先も……抱きたいって言われたら……)

 その辺りも、きちんと確かめておいたほうが良いだろう。
 何しろハーフとはいえ、人狼にとって『つがい』は生涯を左右する伴侶だ。気軽に承諾していいものではない。少しでも不安があるなら断るべきだ。
 それならまだ、友情だけは壊れずに済むかもしれない。
 ゴクリと唾を飲み、自分で胸やわき腹をそっと撫でていく。
 目を閉じて、これがロルフに触られているのだと思ってみる。ロルフの手はもっとゴツゴツして大きいが、その辺りは脳内補正で誤魔化す事にした。
 ピクン、と身体がシャルの意思とは無関係に小さく跳ねる。

「ん、んっ……」

 無意識に声が出そうになり、歯を喰いしばった。ビクビクと四肢が痙攣し、全身に汗が噴き出る。
 脚の間がじんじんと疼き出し、恐る恐る触れてみると、熱い粘液のぬめりが指先に触れた。
 成人女性の陰部も男性器も散々見たし、人手が足りない緊急時には手術をしたこともある。
 いつでもそれはただの肉体で、それ以上には何も思わなかった。

 ごく自然の生理的な反応だと、頭ではわかっているのに、自分の身体でそれが起こっていると思うと、どうしようもない羞恥がこみ上げる。
 そのくせ、信じられないほど気持ちよかった。
 ロルフにされていると想像すると、また胸が締め付けられ、たまらない気持ちになる。
 疼く肉芽を軽く刺激するだけで、下腹部の奥へジクジクと快楽の熱が沸き起こる。目端に涙が溜まり、吐息が熱くなっていく。

(……っ……たしか……この、あたり……)

 男を受け入れる小さな口を、手探りで探す。
 理屈では大丈夫と知っていても、さすがに指を入れる気にはなれず、縁を恐々となぞった。
 ロルフのを、ここに……。

「……っ!!」

 爪先から脳天まで痺れるような快楽が貫き、背が弓なりに反る。

「は……ぁ……」

 初めて感じる鮮烈な刺激なのに、どこか物足りない。もっと欲しいと身体の奥が要求している。



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