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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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メイ-3

「ごめんね、玲香……。お母さん、メイがまさか外に飛び出していくわけないって目を離したばっかりに……」


普段は豪胆な母が、額に手をあてガックリ項垂れる姿がやけに小さく見える。


心なしか、顔色も悪い。


きっと夕飯の支度も中断したままずっとメイを探していたのだろう。


母を責めたって今さらどうにもならない。


あたしだってメイがいなくなった時に、呑気に塁と会っていたんだから。


「お母さん、今度はあたしが探しに行ってくるから。

お母さんはメイが家に帰ってきたのがわかるように、ここにいて」


こんな時に、父は出張で家に帰ってこれない。


ああ、なんでこんなにタイミングが悪いのか。


でも、嘆いていたって仕方ない。あたしはそのまま踵を返すと、再び家を飛び出した。





こんなこと、今まで一度もなかったのに。


つっかけの安物サンダルを履いたあたしは、あてもなく走り出していた。


いくら窓を開け放していても、決して外に出ようとしなかった臆病なメイ。

なんで、あの子はいきなり外に飛び出しちゃったんだろう?


あたしは猫が好きそうな狭い所や木の上を探し回りながら、半泣きになっていた。


一度も外に出たことのないあの子、野良犬なんかに追いかけ回されてたら……。


木に登ったまま降りられなくなっていたら……。


車通りの多いとこに出ちゃってひかれでもしたら……。


次々と悪い想像に飲み込まれそうになるのを必死で振り払い、あたしは夜だと言うのに近所迷惑を省みずに大声でメイの名前を叫び続けた。




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