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LADY GUN
【推理 推理小説】

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LADY GUNを手にする日-4

 そんな若菜だが、毎日のように悪夢に目を覚ます事は変わらない。周りに心配をかけまいと明るくする若菜だが、その裏で蠢く物は日増しに大きくなる。今すぐにでも田口を探し出したい気持ちでいっぱいだ。しかし未熟な状態で無闇に突き進んでも田口には絶対適わない事は分かりきっていた。とにかく若菜は警察官として基本から学びなおしている。
 技能検定競技大会まであと1ヵ月。毎日必死で努力してきた若菜は次第に顔つきも変わり成長を感じさせるレベルまでになっていた。その成長を一番感じているのは石山だった。この数ヶ月、若菜を柔道で何回投げ飛ばしたか分からない。剣道に関してはいい勝負が出来るまでになっていた。
 「剣道はまだしも柔道は全然適わないなぁ…。」
見事に背負い投げされて息を切らし仰向けになったまま呟く若菜。
 「当たり前だ。ハハハ!」
汗を拭う石山。
 「前はオッパイ気にしてたのに、最近全然気にしないですね。ガンガン当たってるのに〜。」
ニヤッと笑う若菜。
 「そんな事を気にしていたら負けてしまいそうなぐらい、お前が強くなったって事だよ。真剣にならざるを得ないんだよ。油断したらやられてしまうよ。」
 「えっ?でも全然適わないですけど…。」
未だに一度も技を取った事がない。
 「仮にも俺は全国を制した男だぞ?しかも体重差もかなりある。そう簡単に勝てる訳がない。しかしきっと同じような体型の人間と試合した時、きっと分かるはずさ。自分のレベルが。もう黒帯つけてもいいレベルはとっく超えてるよ。」
 「本当ですか〜??全然実感ないんですけど。」
 「間違いない。俺を信じてあと少し頑張れ。」
 「はい。」
若菜はガンガン投げられ続けた。投げられてばかりの若菜だが、嫌いではなかった。弱い自分への戒めと感じるからだ。石山に投げられると後ろ向きになりがちな気持ちを奮い立たせてくれるからだ。逆に気持ちがいいのであった。
 練習を終えいつものように車に乗り話しながら帰る若菜。
 「しかしどんどん綺麗になってくな、お前。すっかりいい女になったな。」
 「本当ですか?自分では全然分からないですけど。」
 「間違いないよ。フフフ、何も気にせずに女子力磨けよ?恋愛もしろ。お前は大きな物を背負っているかもしれないが、でもそれに捕らわれてはいけないよ。周りの女の子と同じようにお洒落して、恋愛して、たくさん楽しい思い出を作れ。警察官の女子だって他の女子と同じように人生楽しめるんだって事を分かって欲しいんだ、俺は。」
そんな石山に父親の優しさを感じた。
 「お父さんも生きてたらきっとそう言うでしょうね。ありがとう、石山さん。」
 「ああ。」
自分でもお洒落したいし色んな所へ遊びにも行きたい。しかし自分はそんな事をしている場合ではないと思い胸の中に閉まっていた。しかし誰かにそう言って貰いたかったのかも知れない。若菜は石山に感謝の気持ちを抱かずにはいられなかった。
 「いいパパなんでしょうね、石山さん♪」
 「そうでもねーよ!ハハハ!」
笑い飛ばした石山だが、他人とはいえ父親の気持ちに触れられたような気がして嬉しくなった。


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