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未定
【純愛 恋愛小説】

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双子の 弟-1


それにしても、双子の弟なんていたんだ………。と、高橋征嗣が双子の弟である高橋奏嗣をオフィスビルの玄関先まで迎えに行っている間、ぼんやりと考えた。

双子って事は征嗣と奏嗣は瓜二つの可能性が高いんだよな。征嗣の方は、まあ入社早々目の肥えた事務やら秘書やらのお姉様達が騒ぐ位の美貌の持ち主であるから、弟の奏嗣もさぞや美しい外見なのであろう。




はー、しかしまったく。

元は彼のミスの修正のため、オフィスに1人残り黙々と作業する予定がえらいことになっちまったな。しかも、高橋くん下行っちゃったし、すっげーお腹空いてんだけど彼が買ってくれた食料どれ食っていいかわかんねーし。



時計の針は気付けば午前2時を回りそうである。

(あー……もう、眠い……)



まぁ、高橋くんが戻ってくるまでちょっと休憩しよ。なんて思い、デスクに突っ伏した途端、私の意識は遠のいていった…………………………








「……ったく、今日はたまたま一緒にいた渚先輩が許してくれたからいいけど、こんな事バレたら俺はともかく先輩方に迷惑がかかるんだ、いい加減にしろよ?」


「ふぁ〜い、あー眠ぃ〜!!」

「はぁ……おい!聞いてんのか!?奏」

「はいはい、聞いてますよ……っと?」


オフィスビルの玄関まで俺の弟である高橋奏嗣を迎えにいき、俺・高橋征嗣の勤める光圀コーポレーションデザイン担当部のオフィスに足を踏み入れた瞬間、奏嗣が意味深な声をあげた。



「奏?」

俺たちは幼い頃からお互いの事を、“征”、“奏”、と呼んでいた。

俺の呼びかけに答えず、奏はオフィスの中に入ったっきり立ち止まっていた。まったく、昔っから双子の俺でも何考えてんのかよくわかんないやつなんだよな。今は……何かを、見ている………?


「今度はどうしたんだよ、奏」


奏の横に並び、視線の先を辿るとそこには、

「あ、寝ちゃってる……」

デスクに突っ伏して、顔だけ横に向けたままスヤスヤと寝ている渚先輩がいた。今日の仕事も疲れたのであろう、気持ち良さそうにぐっすり寝てしまっているのが遠くから見ても分かった。

「征、この人が、渚小梅?」

「ああ、そうだよ。お前にちゃんと謝罪させようと思ったけどこんなにぐっすり寝てちゃ、ちょっと起こせないな…。」

俺は奏にそう答えながらオフィスに常備してある女性社員用のブランケットを渚先輩の肩に優しくかけてやった。

スースーと可愛い鼻息をたてながら眠っている。あぁ、渚先輩のクリクリした大きな目ってやっぱメイクじゃないんだな。睫毛ふっさふさだし。閉じた目だとアイラインとかマスカラとかをあまり付けていないらしいことがよく分かる。

薄く開いた唇はほんのり赤くて中から赤い舌が少しだけ見えた。そんな無防備な彼女の姿に少しだけゾクっとしてしまった。だめだ、何考えてんだ俺、ここ会社だし、奏の前だぞ。

(…にしても、可愛すぎんだよ、先輩………!)




必死で自分を抑えながら、さっきから無言のまま渚先輩を見つめている奏の事を思い出し、あいつを見た。








(………………え?)






渚先輩を見つめる奏の目は、双子の俺ですら見たことのない、甘い様な、強い、熱のこもった目をしていた。





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