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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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懐疑-7

 今のところ石橋は田倉に不利な行動を起こす気配はない。接してみてさまざまな言動から、現在も奈津子に好意を寄せているのではないかと思えた。独身なのはそのせいばかりではないと思うが。
 石橋が我々のことを公にする可能性はきわめて少ないのでは、と考え始めていた。そうなれば奈津子に多大な迷惑がかかることになるからだ。真っ先に奈津子のことを考えるはずだ。もしかしたらこのまま平穏無事に……。万事において前向きに行動する田倉であるが、夜道を歩く少年のように心細かった。
 決して口は出さないが、添い遂げることが究極の希望である。雲をつかむくらい現実味がない。難攻不落な城をたった一人で攻め入るようなものだ。最大の障害は奈津子の心中にある。田倉のことは好いていても心の奥にあるのは常に佐伯義雄である、ということだ。田倉が乗り越えられない外堀である。躰は手中に収めたわけだが、心までパーフェクトにつかんでいるわけではない。奈津子が一番愛しているのは夫である。心のよりどころは夫なのだ。一緒にいるとそのとが如実に伝わってくる。
 夫を裏切り快楽を貪る不純な肉体と、夫を愛する清純な心が存在するゆえ、あらゆる情動と闘っている。肌を合わせているときでさえ田倉はそれを感じていた。この蜜月を未来永劫続けていけるとは思えない。田倉は焦り始めていた。今のままでは決して佐伯義雄を超えることはできない。仕事においても恋愛においてもモノにするまで戦う、元来が好戦的で欲深い性格の男である。全てを奪うことができれば退職をも辞さないといった、きわめて危険な思考が首をもたげ始めていた。芳香を放つ奈津子の躰や卑猥な各部位を思い、強い性欲が湧きあがった。


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