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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈哀肉獣・喜多川景子〉-9

「だ…誰がお前なんかに……いぎ…ぎ……」


ボタンは全て外され、緊縛で開けていないだけに過ぎない。
景子は思い切り首を回し、背後に居るタムルを睨んだが、非情な両手はYシャツをしっかりと握り、その邪魔な衣服を背中にまで捲ってしまった。
もうスーツが隠せるのは両腕と背中だけで、床に骸を晒すパンティーとお揃いの白地に黒のステッチのブラジャーは丸見えだ。


「ふ〜ッ……ふ〜ッ……」


景子はタムルを睨んだままだった。
横目で睨む目は白目を剥いたような恐さがあり、歯を食い縛って鼻穴を拡げて呼吸する様は、いきなり噛み付いてきそうな凶暴さを秘めていた。
だが、この緊縛の前ではどうにもなるまい。
不用意に口元に手でも差し出さなければ危険は無いし、こんな眼光で人を倒せるなら、タムルも専務も、とうの昔に死んでいるはずだ。


「さ、触るなっつってんだろッ!!しつこいんだよ!!!」


タムルは更に景子の背中に自身の胸を密着させ、両の手でブラジャーのカップを包み、左右から押し潰すように指を動かした。
そしてその蕩けた瞳は、肩越しに景子の胸元を見下ろすように覗き込んだ。


『……貧相な胸……カップが密着してないなんて……』


タムルはブラジャーのカップを何度も左右から押し潰し、カパカパと嘲笑うように動かした。
呼吸するたびに肋骨が浮き上がり、鎖骨も大きく張り出た上半身に、あまり肉感は無く、それは胸肉にも当て嵌まっていた。


「う、煩いわねッ!!お前みたいな奴に言われ……やあぁッ!!!」


カップを潰す事に飽きた手は、肩紐とカップを繋ぐプラスチック製のフックへと滑り、それを掌に収めて力一杯に握っていった。

ブラジャーのフックは、それ程頑丈な物ではない。
グニグニと蠢く握り拳の中で、今にも破壊されそうだ。
目に涙を溜めながら、焦りの色を滲ませた表情で握り拳を見つめ、そしてタムルの顔に崩壊の気配を漂わせ始めた憤怒の表情を向ける。
そんなせわしなく動く景子の顔に、タムルや部下達の表情は緩みっぱなしだ。
そこには、この男達の前には裸体を曝したくないという強固な想いが、目一杯詰まっているのが分かるからだ。


『……ねえ?「助けて下さい」ってお願いしないの?』

「調子に乗ってんじゃないわよ!!早く…早く手を離せよッ!!!」


小馬鹿にしたタムルの言い方に、景子は反発した。
拘束具や麻縄を用いて女性を“どうにかしよう”という卑怯者に、頭を下げてお願いなどする訳がない。
いや、出来るはずがないのだ。

親しかった文乃、毛嫌いしていた麻里子、そして、そんな麻里子が可愛がっていた妹達……皆、志を同じくした同志であり、そんな彼女達を完膚無きまで踏みにじって弄んだ奴らに、哀願など有り得ないではないか。



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