道-3
中央署に着く。多くの署員が上原！若菜！と話しかけてきた。若菜はその度に頭を下げすみませんでしたと答えて署長室へ入る。
「上原です。」
今日はちゃんとノックして入室許可を待ってから入る。
「入りなさい。」
島田の声がしてからドアを開ける。
「失礼します。」
中には中山もいた。若菜は前へ進み頭を下げる。
「今までご迷惑をおかけしました。昨日は突然申し訳ございませんでした。本日より勤務に戻らせていただきたいと思います。」
島田が口を開く。
「体調は大丈夫か？」
「はい。」
見た目、全然大丈夫ではなかった。誰が見ても痩せすぎである。しかし何と言っても目だ。その目を見れば大丈夫かそうでないかはすぐに分かった。島田も中山も復帰を認める事で意見は合っていた。中山が言った。
「私は臭くなければ即オッケーだ。」
冗談のつもりで言ったのだが…。
「部長、私まだ部長の冗談に対応できるような心理状態ではないので。お風呂はちゃんと入りました。」
「そ、そうか…。す、すまん…」
「いえ…。では業務に就いて宜しいでしょうか？」
「あ、ああ。」
頭をかく中山。一度退室しかけた若菜だが立ち止まる。
「あと、お願いがあります。３ヵ月後、私を見てから判断して欲しいんですが、先輩のLADY GUNを私に下さい。」
「…、考えておこう。」
３ヵ月後…、ちょうどその頃に全国の有能な技術を持つ警察官を決める検定会がある。全国警察官技能検定競技大会だ。静香は栄えある第１回大会の優勝者だ。それに優勝するつもりだと言う事は島田にはピンと来た。
「はい、失礼します。」
出て行った静香を見送った後、島田は懐かしそうに言った。
「皆川もあんなんだったな。」
中山が答える。
「皆川は休職中に突然来て復帰すると一方的に言ってきましたよね。お偉いさん達の許可は何とかしろ的な。上原は一応前もって言ってきたのが違いですかね。まぁ１日前とはいえ。上原が必ず復帰するだろうと信じて予め本部に話をしておいて良かったですね。」
「ああ。なぁ、中山君、私は上原が技能検定競技大会で優勝すると思うんだ。その時は…」
中山は島田の言わんとしている事が分かった。
「いいんじゃないでしょうか。あの銃は上原が持つべきものだと思いますよ、私も。」
快く賛同した中山。今は見窄らしい姿だが、３ヶ月後はLADY GUNを持つに相応しい立派な姿になっている事を２人は期待した。