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LADY GUN
【推理 推理小説】

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-1

 昼上がりの中央署が騒然となる。署員も、訪れていた一般人もまるで乞食のような女の姿に道を開け目丸くして驚く。そう、若菜だ。若菜は泰子と別れてから真っ直ぐ中央署に来た。
 「う、上原さん…?」
何人かの署員が気付く。すっかり変わり果てた姿に声をかける事を躊躇う。若菜はそんな署員達に目もくれず署長室に向かう。
 アイドルばりに可愛らしいかった若菜の姿はない。サラサラヘアーが自慢だった髪は様々なショックで白髪だらけになりボサボサである。フケも凄い。顔はすっかりやつれ、ぽっちゃり気味であった体はガリガリに痩せていた。やつれた顔だが目だけはギラギラしている。それが無気味な印象を与えた。風呂も入っていないため匂う。服は汚れたジャージ姿だ。街で会えば完全に職務質問の対象間違いない。そんな姿で突進してこられては誰も近寄る事を躊躇うのも当然だ。若菜は何の障害もなく署長室へ向かう。
 ノックもしない。いきなりドアを開けた若菜。
 「うわっ!!誰だいきなり…、ん…?う、上原か…!?」
変わり果てた姿に驚く。予想だにしなかった訪問者だ。
 「明日から復帰します。」
開口一番そう告げた若菜。
 「そんな急に…、大丈夫か…?」
確かに全身酷い姿である。しかし島田は若菜の眼力に気付く。
 「ご心配、おかけしました。もう平気です。」 
 「しかし…」
そこへ中山が駆けつけた。
 「う、上原が来たって本当ですか…!」
そう言ってドアを開けると若菜の後ろ姿が目に飛び込んで来た。
 「く、臭っっ!!」
思わず正直な言葉が出てしまった。
 「…」
振り返る若菜。その顔を見て背筋がゾッとした。強烈な印象と、そして正芳が亡くなった時の静香とまるで同じような姿に心臓が破れそうな程驚いた。
 「上原…」
 「部長、明日から復帰します。」
 「しかし…もう少し休んだ方が…」
そう言った中山を物凄い眼力が突き刺す。
 「休んでなんていられない。先輩の未来を私が歩まなきゃいけないから…。私は復帰します。」
若菜はそう言って署長室を出て行った。
 「どうする…?」
島田は中山に意見を求めた。
 「皆川もああして復活しました。」
 「そうか…。分かった。」
島田はそれ以上何も言わなかった。若菜のエナジー漲るあの眼力を信じよう、そう思ったからだ。


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