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疼くの……
【熟女/人妻 官能小説】

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かげろう-1

旅行から帰ってから、私の心には不思議な感覚が漂っていた。それは、ふわふわとしていながら重みがあり、仄かな温もりがある。日が経っても消えそうで消えず、私は浮遊する想いを見つめていた。

 あの夜、泥酔した夫は朝になっても二日酔いで、朝食も食べずにチエックアウトぎりぎりまで起きてこなかった。
(なんのために来たのよ)
なんとかならないかと股間をまさぐってみたが全く反応しない。
「勘弁してくれよ。気持ち悪いんだよ」
(お金損した……)
思いながら、あの男性の舌の動きが秘唇に甦って、ぐちゅぐちゅに濡れてくる。
(損でもなかったか……)
徹底して舐められるのも悪くない。貫かれるのとは違って、じらされるような微妙な快感が少しずつ膨らんで、まるで熱いマグマが体内に蓄積されるみたいになってくる。
(今度夫にさせよう)
償いは十分にさせてやる。

「ロビーにいるから」
十時近くなってよくやく起き上がった夫に告げて部屋を出た。まだお酒の臭いがこもっていた。
 フロントが混雑していたので喫茶室でコーヒーを飲んでいると、すっと人影が立った。「掛けてもよろしいですか?」
「どうぞ……」
顔を上げて思わず息をのんだ。
(あの男性の、奥さん……)
さすがに気持ちが動揺した。
 私は顔を伏せつつフロントを窺った。

「フロント、混んでますね」
「ええ……」
目を上げると穏やかな笑みを湛えている。
「みんなゆっくりして、帰る時間が一緒だから……」
「そうですね……」
何とも居心地がよくない。なにしろこの人のご主人と昨夜お風呂で淫らなことをしたのだから当然である。
 
「失礼します……」
フロントに行こうと思い、立ちあがった時、
「あの……」
奥さんは周囲を見回して丁寧に頭を下げた。
「昨夜はありがとうございました」
「はい?」
「主人が、お世話になって」
「……」
言葉が出ない。胸がどきどきし始めた。
「ほんとにお礼の申し上げようもありません」
「あの……」
「何もおっしゃらないで。お声をかけるのも失礼とは思いましたが、あまりにも主人が喜んでいたものですから、どうしても一言……」
そしてまた頭を下げた。

(何?あの人、喋ったってこと?)
どうしよう。何を言ったのか。アソコやお尻を舐めたことまで話したのかしら。とたんに顔が火照ってきた。
「主人、泣いていました。嬉しくてですよ。ご主人がご一緒なのに、若い女性に悦びをいただくなんて……申し訳なくて……」
答えようがない。
(私から誘われたって言ったのかしら……)

「こんなお話して、いやな思いをさせてしまったらごめんなさいね。本当に感謝してるんです。……ぶしつけですが、今度家に来ていただけませんか?」
「え?……」
「お住まい東京ですよね。レストランでのお話を聞いていてわかりました。私共もそうです。ぜひ、いらしてください」
(どういうことなの?……)
エレベーターから夫がおりてきた。その視線を辿った奥さんは、
「これ……」
小さな紙片を私の前に置くと会釈をしてゆっくり立ち上がった。


 紙には住所と電話が書いてあった。早瀬、と名前もある。
(感謝してるって言ってたけど……)
奥さんの表情や言葉からは嘘は感じられない。
 何か魂胆があるんだろうか。
(慰謝料とか……)
夫に知られたら困る。
 でも、そんな風には見えない。かといって、秘密のエッチをした男性の奥さんにお礼まで言われて、おまけに家に呼ばれるなんて。やはり病気のせいで心がふつうではないのだろうか。
(どうしようか……)
迷う、という以前の段階で私はゆらめき続ける気持ちを持て余していた。

 
 夫とは一週間、体の接触を断った。旅行の話をして盛り上がった時以来だから、
(十二日になる!)
出張の時はともかく、毎日顔を合わせて、同じベッドに寝ていてこんなにあいたのは初めてだ。
 旅行から帰った夜、夫の手が伸びてきたので、
(いまごろ、何よ)
「疲れたの……」
お仕置きのつもりで意地悪した。それでも抱き寄せられたら応じたのに、
「そうだね。旅行って疲れるな」
あっさり手を引いた。そのことにちょっとカチンときて次の日も、風邪気味だと言うと、またすんなり頷いた。
 風邪かどうか見てわからない?思いやってくれているんだろうけど、もっとねちっこくしてよ。
(溜まってるんでしょ?)
私だってそう。舐められて刺激があっただけ却って敏感になっていた。
 翌日は夫の飲み会。何となくタイミングがずれて日が経ってしまったのだった。

(限界……)
それは夫も同じだった。食事の後かたづけをしていると後ろから抱きすくめられた。
「修子……」
(あ……)
乳房を揉まれ、項に唇が吸いつく。
「ああ……待って、片づけが……」
唇が耳たぶに触れ、私は力が抜けていった。
 向き合って濃厚なキス。音をたてるほどに蜜が出てくる。
夫は私を抱きかかえながら寝室に向かう。
「お風呂入ってから……」
「我慢できないよ。このまま……」
(そうね……いいわ……)

 ベッドでお互いに貪るように絡み合った。快感の痺れが何度も体を走り抜けていく。
(そうだ……)
『償い』を思い出した。
(舐めてもらう……いっぱい、いっぱい、あの男性みたいに……)
洗ってないけど、そんなことはどうでもいいと思った。

 スカートはそのままでパンツを脱ぎ、開脚した。ネチッと音がした。
「舐めて。私がいいって言うまで舐めて」
「入れたいよ」
「だめ。旅行の賠償」
夫も猶予のない昂奮状態であった。私の太ももを抱えると、どろどろの割れ目に顔を押しつけてきた。
「あうう!」
「ううう!修子のにおいだ!修子のにおい!」
私は気が遠くなって、間もなく自分を見失った。




 
 
 


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