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LADY GUN
【推理 推理小説】

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静香の命-6

 会場の係員にお願いをして一晩若菜をそのままそっとしておいた中山。麗子と相談の上だ。心行くまで静香と一緒にいさせてやろうとの計らいだ。一応別の部屋に中山も一晩待機した。会場となった野村セレモニーホールには一晩中啜り泣く声が微かに響いていた。
 翌朝、中山が若菜の下に行くと、まだ何か静香に語りかける声が聞こえた。
 「上原…」
中山は若菜の顔を見て腰を抜かしそうな程驚いた。まるで幽霊のようだったからだ。静香とどっちが生きている人間の顔か分からない程に寒気のするような顔だった。
 「上原…、少し休め…。」
若菜は無気味な程にゆっくりと顔を上げて言った。
 「休まない…。私はずっと先輩と一緒にいる…。絶対離れない…」
精気のない声が痛々しいし、ある意味無気味にも聞こえた。
 「体を壊すぞ?いいから休め。」
うつろな瞳を見つめていると、本当に呪われそうな気分になる。
 「壊れるくらいなら私が死ねば良かったのに…。魂入れ替わらないかなぁ。私の体で良かったら喜んで替わるのにな…。」
 「そんな事言うな…。」
 「あ、そうだ…。医学が進歩して人間を生き返らせられるようになる日が来るかもしれない。だから先輩の体を冷凍しましょうよ…。それまでに私、たくさんお金貯めておきますから。それがいいです。冷凍しましょうよ。私の部屋に置いて大事に守っておきますから…」
 「(ふざけてるのか…?)そんな事無理だ。皆川は今日火葬されるんだ。ちゃんと葬式をやってやらないとな。」
 「火葬…?火葬って何??先輩を焼くつもり…!?何でそんな酷い事するんですか!?こんな綺麗な先輩を焼くなんて許せない!許せない!!」
鬼の形相で中山に立ち向かってくる。
 「お、落ち着け上原…!目を覚ませ!皆川は死んだんだ!」
 「先輩が死んだ…?どうして?…あ…私が…私のせいで…私の…私の…嫌ぁぁぁぁ!!」
若菜が喚きながら暴れ出した。
 「上原!落ち着け!おまえのせいではない!おまえのせいではないんだ!」
 「私が先輩を殺したんだぁぁぁ!私がぁぁぁ!」
手に負えない若菜。この小さな体のどこにそんな力があるのかと思うほどに暴れていた。騒ぎに気付いたセレモニーホールの社員と3人がかりでようやく抑えつけた。しかしまだなお泣き叫ぶ若菜。精神的に不安定で非常に危険な状態だと判断さした中山は麗子に電話をかけた。
 「病院に搬送して下さい。そんな状態では皆様に迷惑がかかりますから。若菜には後で私が説明しますから。」
 「申し訳ない…。」
中山は激しく暴れる若菜を病院に運んだ。若菜はまるで精神異常者のように叫び暴れ続けたが、薬を投与され眠らされてしまう。
 麗子は葬式に参列した。
 「静香ちゃん、あの子を見守ってあげてね?ありがとう静香ちゃん。ありがとう…。」
麗子は正芳が亡くなり誰知れず泣いているのを静香に見られた事がある。麗子は静香の前で二度目の涙を見せたのであった。


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