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秘剣露時雨秘裂返しのお満
【コメディ 官能小説】

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運命の転機-2

そんな瓶之真の心内を知らずに、お満は振り向くと瓶之真に丁寧に頭を下げた。

「どうも、ありがとうございました。竿之介も気が付いた事ですし、外の者達が居なくなれば直ぐに引きあげます」

お満はそう言って立ち上がる素振りを見せた。

「いやいやいやいや、気にする必要はござらん。今しばらくは休んでいなされ」

お満が直ぐに帰る気配を見せたので瓶之真は慌てて止めた。

「いえいえいえいえ、ご迷惑をお掛けする訳には参りませぬ」

「まあまあまあまあ、先ずはお座り下され。それよりも、どうして悪漢に追われていたのか事情を教えて下さらんか?場合によっては、それがしが力になれるやもしれん」

瓶之真は話を引きだして、長居をさせる切欠を作ろうと思った。

「いえいえいえいえ、見ず知らずの方にこれ以上はご迷惑を掛けるわけに参りませぬ。我らは直ぐにお暇いたします」

お満の言葉に瓶之真が「はいそうですか」と言うはずは無かった。何も親切心でお満に優しい言葉を掛けているのでは無い。瓶之真の本心はただただお満と一発、イヤイヤ何発でもヤリたいだけなのだ。

折角迷い込んだ美しい獲物、例えそれが狐狸や妖であったとしても、瓶之真は何もしないままそれを手放すつもりは無かった。

しかもさっきまで漂っていた『異』は、今のお満からは全く感じられなかった。狐狸や妖と感じたのは、自分の勘違いだったと思い直していたから尚更だ。

「何を仰る。困った者を見捨てたとあらば、この亀起瓶之真が世間に笑われ申す。それがしの力になれる事が有るやも知れず、ここは遠慮のう言うて下され」

瓶之真は膝を詰めてお満ににじり寄った。

「なんと見ず知らずの我らにそこまで親身に…。亀起瓶之真様、お満は感激いたしてございまする」

お満の目から涙がポロリと落ちた。

「ならば遠慮のうどうぞ」

「では、恥を忍んで我らの苦難をお話いたします」

覚悟を決めたお満はまず自分達の名前を名乗り、藩の名前は伏せたまま、お家騒動で父親の棒太郎が上意を無視して逐電した事。それによって家が断絶した事。その後、叔父の家に世話になったが、その代償として叔父に犯されそうになった事。その叔父を竿之介が徳利で殴って姉弟揃って逃げ出した事。外に倒れているのがその叔父だと言う事を話した。

「う〜む、若いお満どのに邪まな考えを持つとは、叔父御は何とも卑劣な畜生でございますな」

瓶之真は自分の事を棚に上げて、呆れかえったように言った。

「そうなのです瓶之真様。この天女のような姉に、邪まな考えを持つ輩は畜生では足りませぬ。塵、いやいや、犬の糞以下にございまするぞ」

お満は自分のモノだと思い込んでいる竿之介は、興奮の余りに激昂した。

「は、はは、ははは、そこまで酷くはないでござろう、は、ははは、で、その叔父御がどうして外で倒れていたのであろうか?それに竿之介どのも。お満どの教えて下され」

瓶之真は自分の心内を誤魔化すために、慌てて話を逸らしてお満に聞いた。

「それがサッパリとわかりませぬ」

お満は手を左右に振って答えた。ただ竿之介に身を任せて快感を堪能していただけなので、何故そんな事象が起きたのかはお満には全くわかっていなかったのだ。

頭の中に居るお敏もいまだに恍惚の表情で白目をむいたままなので、そのお敏にも事情は聞けなかった。

竿之介も同様だった。姉の秘部に舌を這わせて責め立てていたはずが、気が付けば脱力感一杯でここに居たので何が起こったかは全くわかっていない。

今竿之介にわかる事は、道場の真ん中に灯された蝋燭の灯りが、二重にも三重にも見えるくらいに、自分の体の生気が薄くなっている事くらいだ。


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