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紅館小話
【ファンタジー 官能小説】

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紅館小話〜悩〜-1

『悩み〜〜〜!?』
私の前に座っているアルネさんが声を上げました。
『はい………ハイネルシスについて、少し………』
『ハイネルシスさん、とてもクリスさんのこと大事にしてますよ?』
シャナさんがそう言いました。
申し遅れました。 私はクリス。
かつては小国の王女でしたが、今はこの紅館のメイドとして生きて、幸せを掴みました。
『はい、ハイネルシスはとても私(わたくし)を大事にしてくれます。 でも、大事にされすぎて、少し………』
『少し………不満があるのね?』
そうなんです。 ハイネルシスは、彼は私の元護衛騎士で、今はこの紅館の馬飼い。 以前の姫と騎士という関係ではなくなり私達はお互い愛し合い幸せなのですが。
彼はどうも、まだ騎士の頃の癖なのか二人きりの時も私のことを姫と呼びます。
そして………は、恥ずかしいのですが、せ、性交をする時にも優しくしてくれるのですが、何故か………
『ずいぶんと幸せな悩みねぇ〜〜〜』
アルネさんは呆れたように言いました。
『優し過ぎと言いますか………少し違うのです。
私はもっと普通に扱ってほしいのです。
なのにハイネルシスは………』
『ハイネルシスさんは………?』
性交の際、ハイネルシスは優しく愛撫してくれます。
私の嫌がることは一切せず………そもそも、私が求めない限り彼は私を抱いたりしないのです。
いざ抱いても、私が少し大きく………あ、あえぎますと彼はすぐ愛撫をやめてしまいます。
『つい、駄目とか、いやとか言ってしまいますと、すぐに中断してしまいます………』
『それは………』
『ずいぶんと………』
お二人は納得したように頷きました。
『そんな、愛撫されてる最中のあえぎ声一つで中断されたら………クリス、すん止めされてるのね………』
『は、はい………』
自分でも無意識に口走ってしまうのが絶頂を迎える寸前なので、彼がそこで愛撫をやめますと私は絶頂を迎えることも出来ずに悶えることになります。
『それは不満も溜るわね………』
『ハイネルシスは………私のことをどう思っているのでしょう………
大事に大事に………そうされても、どこか、丈夫な箱に大切にしまわれているみたいで………
箱の中では彼は見えません、触れられません。
箱から出して、壊れるくらいに………ハイネルシスに抱き締められたい………』
私の言葉、シャナさんは大きく頷きました。 彼女はここの館の主、紅様の恋人で、婚約者。
おしとやかで優しくて、私の憧れの女性です。
『私も、大事にしまわれるより、壊れても良いから沢山紅様に触れてほしいです。』
アルネさんはシャナさんとはまた違った女性です。
凛とした顔立ち、綺麗な金髪の似合う人。
紅様の秘書として、支えている人。
彼女もまた、私の憧れです。
『そうね………それなら良いものがあるわ。』
アルネさんがそういって取り出したのは、乾燥した木の根っこでした。
『それは………?』
シャナさんと私は首を傾げます。
するとアルネさんは根っこを少し切り取って、擦り潰し始めました。
『これはね、粉末にして飲ませるとね。
たちどころに血行が良くなって興奮も高まる、言わば媚薬よ♪』
『び、媚薬!?』
私とシャナさんは同時に驚きます。
『これを飲ませれば、ハイネルシスも抑えが聞かなくなるわけよ。 あとは………』
『あとは………クリスさん、貴方の気持ちをハイネルシスさんに伝えることです。
きっとハイネルシスさんに伝わります。』
『アルネさん……シャナさん………』
二人を交互に見て、アルネさんから薬を受けとりました。


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