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疼くの……
【熟女/人妻 官能小説】

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湯の香仄か-3

 ロビーやレストランなどの本館は浴衣は禁止だが、浴場は別棟になっていて専用の通路で行き来できる。

 ぼんやりしていながらアソコは確実に潤っている。歩くたびに秘唇の合わせ目がぬるぬると擦れる。体は火照ってくる。
 せっかく借りたお風呂だからもったいない。そう思っても気分は千切れて休憩室で一息ついた。

「こんばんは」
声をかけられ、見ると、ロマンスグレーの男性である。
「はい……」
見覚えがある。すぐにレストランで隣の席だったと思い出した。ご夫婦で楽しそうに話をしていた。
「ご主人と楽しそうでしたね」
「そちらも奥様と……」
「毎年来るんです」
裕福なんだな。
 違和感なく話ができたのは相手が落ち着いた年齢ということもあったが、私の体が昂ぶっていたからかもしれない。

「奥様と貸し切り風呂ですか?」
この奥は大浴場とは離れて家族風呂のスペースになっている。
「いえ、妻はもう休みました。体が弱いもので」
「そうですか。うちも主人はもう寝てしまいました。酔っ払って」
二人で笑い合いながら、私は不意の疼きに息を呑んだ。はっきりと蜜が絞り出されるのが感じられたのである。同時に段階を踏む思考が消えていた。疼きがミミズみたいに蠢いた。

「貸し切り……予約してあるんです……」
思いがけないことを言っているのに、自分で驚きはない。
「はあ……」
「入りません?」
私が歩き出すと男性は強張った頬をみせた。
「いいんですか……」
「一人で入るものじゃないですよ……」
「そうですね……」
少しも劣情の見えないやさしい目が却って私を燃え立たせた。


 男性は私の体を賛美し続け、私はその囁きに陶酔し、肉体が溶けていく感覚を味わった。
「美しい。こんなきれいな体は見たことがない」
男性の望むまま後ろ向きに尻を突き出し、彼は両方の秘口を舐めては眺める。
(いやーん……)
さすがに羞恥はある。

「お尻の形、肌の艶。きれいです。肛門がまたきれいだ。完璧な円形。ほとんど黒ずみがない。筋の菊状が何ていいんだ」
そして舌先をなぞってくる。
「あうう……」
浴室に響いて声を呑んだ。

「ああ、おまんこの色がすばらしい。透きとおるようなピンク。色白の柔らかな膨らみ」
「うう……」
割れ目をねっとりと舐めてくる。
「左右相似形の性器はそうはいないです。ご主人が羨ましい」
舌はときおり裂け目に入り、蜜をすくっているようだ。
「美味しい。若いエキスだ。ああ、美味しい」

 快感が次々と生まれ、体内を循環するように巡っている。
「あう……」
いつの間にか私は男性の舌にお尻を押し付け、さらに腰を振っていた。すると舌が陰口にぬっと入ってくる。
(むう……)
ほんの先っぽだけど、痺れる気持ちよさ。

 ぺろぺろ、ネチュネチュ。濃厚な舌の愛撫が続いた。
男性の股間を垣間見ると勃起していない。
(EDかしら……)
だとしたら挿入は無理だろうけど、それでもいい。……だって十分気持ちいい。こんなに舐められたのは初めてだ。

 だが、到達の感覚が迫って全身が硬直してきた時、思わず押し殺した声で口走っていた。
「いれて」
ぬっと膣が押し開かれたのは男性の太い指であった。
「あ、あ、イ、イク……」
痙攣に震え、伸びてきた彼の手が乳首をつまんできてだめ押しの快感が駆け抜けていった。


 ベッドだったらこのまましばらく余韻を味わいたいところだけど、そうはいかない。
振り向くと男性は軽く頭を下げた。
「ありがとう。きれいなものを見せていただいた」
そんなこと言われて言葉が出てこない。息はまだ整わない。
「あなたは女神のようだ」
「そんな……」
ふと項垂れたままのペニスが目に入った。なんだか淋しそう……。

「あの……しましょうか?」
私の視線に気づいて、
「いえ、いいんです。もうだめなんです。気持ちはありますけどね……」
私は黙って彼を導いて立たせるとそっと口に含んだ。男性が大きく息を吐くのが聴こえた。


 その後私たちは休憩室でいっとき話をして、何事もなかったように別れた。不思議なひとときであった。

「妻はもう長いことないんです」
末期の癌だという。
「彼女は一回りも年上ですし、病気がちで、体の触れ合いはとうにありません」
「それじゃ、こんなことしてしまって申し訳ないわ……」
「いえ、妻は私が何もしない方が辛いみたいです。それより、私こそすみません。大変なことをしてしまった……」
「私がお誘いしたんですよ。この場限り。何もなかったんです」
「そう言ってもらえると……。あまりにお美しいので自分を見失ってしまいました」
(こんなに褒められたことはない……嬉しい……)
まだぐちゅぐちゅと疼く。

「ありがとう。いい思い出にします」
「奥様ともいい思い出を」
「そうですね。そのために来たんでした。男っていくつになってもだめですね……」
男性は立ち上がり、丁寧に頭を下げた。

 部屋へ戻ると夫は爆睡であった。
(何をしにきたんだか……)
肛門と割れ目に舌の感触が残っている。
 いいことをしたのか、背徳の行為なのか、何だかわからない。むずむず疼くんだもん。仕方ない。
 疼くの……疼いちゃうんです……。


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