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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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樹里奈を消した-4

「遅れてごめーんっ!」
俺は駆け足で、この時間帯人の少ない映画館のロビーへ足を運び

「んもぅーおーそーいー!5分遅刻!」

頬を膨らませ、彼女が腕につけているピンクカラーが、素敵な腕時計を俺に見せつける

「いやーゴメンゴメン!待たせたね!」
そう言って息を切らし、彼女の元へ駆け寄る

「・・・・なーんて!だぁーいじょーぶい!私もさっき来た所」
ニコッとウィンクをする彼女、その表情を見て俺は胸を撫で下ろす

「それじゃっ!早速行きましょうか!」
満足気な彼女は、そのままチケット売り場へ向かう


目の前に、今テレビや雑誌で話題だと言う恋愛映画が映る
その隣で食い入る様に見つめる彼女、よほど主人公とヒロインの展開が気になるのだろう

「・・んー、なーんでここ引き止めないかなー」


彼女の名は「綾辻 楓」ジーパンにパーカー姿で、見るからに動きやすそうなちょっと
ボーイッシュな感じで髪型は長い黒髪ポニーテール

楓と出会ったのは中二に入ってからやや一ヶ月、丁度5月病が教室内で流行出した頃

「綾辻 楓!父の仕事の都合上北海道から参りました!」
と黒板に背を向け元気な声をクラス中に響かせる彼女

それから彼女はその明るさからすぐに、机に座る彼女の前に女子たちが囲み
男子とも普通に混じってバスケやサッカーをやったりし、ごく一部の男子からは好意の
目で見られたりと、明るく大雑把な魅力的な少女だった・・

ある日俺は、学級委員として会議を終え、ふとカバンを忘れた事に気づき誰も居ない
教室の戸に手を掛けると

「うん?・・」

ガラーとした教室に日差しに照らされつつ机に座りペンを走らす少女の姿が俺の目に映り
真剣な眼差しで、ひたすらノートを睨み続けている

「・・何してんの?綾辻さん」
「えーっと、徳川将軍は・・」

どうやら俺の言葉が耳に入っておらず、そっとしとこう・・と本来の目的の為俺の席に
方向を変えようと彼女に背を向けたその時

「んがぁぁぁぁぁっ!わっかんねぇぇぇぇ!」
突如静寂な教室に雄叫びを放ち爆発し、両手の平で頭を抱え髪をワシャワシャさせ
何事かと咄嗟に彼女の元へ駆け寄り「どうしたの!?」と声を掛けると

「・・ん?あぁー君は確かシュガー君」
そうサトウは英語でシュガー・・って誰が甘いって・・
妙な呼び方でやっとこさ俺の存在に気づいた彼女は目を丸くし俺を見つめる

「どうしたの?・・ひょっとして今日の社会で分からなかった所のお浚いをしてるの?」
図星だ・・という顔でハッとし、咄嗟に自分のノートを隠す彼女

「お浚いじゃないよ!ただどーしても分からなかったから、それでクイが残って」
「気になって今日中に解明したいって訳かい」
彼女の行動を理解し微笑む俺

「そっそうだよ悪い?、先生に聞こうにもタイミングずれちゃったし・・」
明るい彼女が顔を暗くし、今だ解明出来ない自身のノートに視線を落とし
それを見た俺は、軽く息を吐き彼女の前の席の椅子に手を伸ばし彼女の机の前に
くっつけ、それは見た彼女はまたも「何してんの?」とでも言いたげな顔で俺を見つめ

「手伝うよ・・」


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