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Sincerely -エリカの餞-
【二次創作 その他小説】

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002 平穏な学校生活・後-4

   * * *



 A班 秋尾・千景・都丸・八木沼
 B班 新垣・本堂・白百合・間宮
 C班 小田切・目黒・小日向・和歌野
 D班 菫谷・関根・七瀬・深手
 E班 金見・森下・羽村・武藤
 F班 筒井・竜崎・香草・幸路
 G班 如月・乃木坂・泉沢・田無
 H班 有栖・道明寺・佐倉・水鳥
 I班 福地・御園・朝比奈・榎本
 J班 高津・譲原・鈴茂・萠川
 K班 桧山・与町・野上・渡辺





「さいあくー」

 黒板に書き綴られた名字の羅列を見て、オレンジ色の唇を突き出しそう呟いたのは渡辺彩音だ。隣ではツインテールの野上雛子が同じく怪訝顔で溜め息を零している。クラスの女子の中で一番、今時で洒落ていると自称するグループに属する二人は、オタクコンビと呼ばれる桧山洋祐(男子十四番)と与町智治(男子二十一番)との組合せに不満が隠せない様子である。


「お前ら失礼すぎるだろ」

 それを聞いていたライオンの鬣みたいに派手な髪型の高津政秀が、意地が悪そうににやけながら二人の顔を覗き込む。まるでご愁傷様、とでも言いたげである。傍らにはその政秀と同じ班になったスケベの譲原鷹之と、長身の萠川聖、ガーリーな鈴茂まなみの三人が寄り合っている。元々交友する機会の多かった不良グループとギャルグループが挙って同じ班になったのは、よりにもよってオタクと組まされた彩音や雛子から見たら羨ましい限りであった。どうやらこの両問題児グループとオタクコンビとの間には、深い溝があるようである。


 しかし反対に、こんな意見も飛び交っているのだった。

「どうして私が、あんな野蛮な人たちと……」

 クラスの女子で唯一眼鏡をかけている朝比奈深雪は、げんなりした様子で眼鏡のテンプルの部分に指を添え、頭を抱えるような仕草をする。休憩時間はもっぱら保健室に入り浸っている彼女は、どちらかと言えば大人しくて目立たない部類の女子生徒で、交友関係は狭く、特に男子に対しては近寄り難い雰囲気を醸し出していた。そんな少女なので、不良グループの二人、御園英吉と福地旬と組まされたことが大いに不満な様子であった。一足先に班が決まっていた都丸弥重が、やんわりと彼女を宥めている。だが同じく保健室組で同じ班の榎本留姫は、大して興味もないのか文句の一つも口にせず、ポニーテールを頬の端に垂らしながら黙々と読書を始めていた。


 その様子を近くで眺めていた道明寺晶と有栖直斗の二人は呆れたように笑い、同じ班となった佐倉小桃と水鳥紗枝子にこっそりと耳打ちするような仕草で言う。

「俺らは仲良くしような、よろしく」
「ええ、こちらこそよろしくね。……水鳥さんも」

 女子学級委員長の泉沢千恵梨が率いる、極々平均的なグループ──差し当たり女子の主流派と言ったところ──に属する小桃は、今回は本来のグループのメンバーではなく、クラスではやや孤立気味の大人びた美女、水鳥紗枝子とペアを組んでいた。小桃の言葉に紗枝子が軽く微笑んで頷く。


 晶や直斗と親しい真柄の乃木坂朔也は、小桃と同じように男子内でやや孤立している如月昴と組んでいた。小桃たちからは少し離れたところで、その二人と同じ班で行動することになった千恵梨と田無紘那と一緒に、穏やかな雰囲気で談笑している。

「乃木坂くんとなら心強いわ、一緒になれて嬉しい」
「ははは、こちらこそ、委員長とご一緒できるなんて光栄ですよ」


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