カウントダウン-8
石山はますます嫌な予感がしてきた。
「部長、皆川見ませんでしたか？」
「皆川？ああ、さっきコーヒーを持ってきてくれて疲れてるだろうから休んだらと言われてな。眠気がしてきたんで言葉に甘えたんだが。」
「やばいな…。」
石山は静香がコーヒーに睡眠薬を入れ、寝た隙に鍵を手にしたと推測した。
「部長、至急銃庫を開けて下さい！」
「どうしたんだ、いきなり。」
「いいから早く！」
中山は予備鍵で金庫を開ける。するとやはり銃庫の鍵がなかった。中山はマスターキーを手にして銃庫に向かう。鍵でドアを開ける中山。
「あ…、弾が減っている…。それに銃が一丁足りないぞ！？」
慌てる中山。
「皆川だ。皆川が持ち出したんだ！」
「どうして皆川が！？」
「さっき、うちの覆面パトカーとすれ違いました。多分皆川が乗ってたんだと思います。」
「どうして！？」
「もしかしたら田口から接触があったのかも知れません！角田を人質にとってる以上、田口は皆川に単独で取引に応じるよう電話をかけてきてもおかしくはありません。皆川は１人で田口の所へ向かったのではないでしょうか！？」
「何だと…？いつ接触があったんだ！？」
「分かりません。でも今日、上原と同行してましたから上原なら何か気付いたことがあるかも知れません。電話してみます！」
石山は若菜に電話した。
「え…！？先輩が…！」
「おまえ今日何か気づいた…」
「私、署に戻ります！！」
「い、いやだから何か…、馬鹿！切りやがった！」
若菜はいても立ってもいられずに麗子の車を借り署に戻った。
「一体どこへ行ったんですか！？」
スッピンの若菜だが、メイクしている時よりも幼く可愛く見えた事はどうでもいい事だ。
「今日皆川と同行して何か異変はなかったか！？」
「そう言えばいつもと雰囲気が違いました。まるで旅に出る前のような…」
「て事は昨日あたりには田口から連絡があったって事か…。」
「えっ？田口から…？」
若菜は静香の事が心配でならなかった。