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遠近法
【エッセイ/詩 その他小説】

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遠近法-1

「窓の無い夏」
あの日のディスプレイ
煮詰めたような篭った空気
熱を持って腐りかけの橙
そんな他愛もない綯い交ぜのこわさ

殊更に暑く感じた
窓の無い夏の記憶には
毒とも薬ともつかない
何かが居た

密であったらしい偶然は
眺めているだけになっても
心音のざわめきは
これ以上忘れもしないのだろう


「遅刻とバイト」
おざなりな共有は淋しい
時間ではないようなね
くっついた体温は何処
あたたかいけれども
規則正しい心音が掌
遥かに喚く脈拍
涙だけがべたべたして
眼鏡が濁るから見えない
寝息が聴こえるから眠ろう
手首美人の骨を折りたい


「進行形」
ねぇ
此処は最早
猿芝居で溢れているけれど
君は如何なのかな

その五感は
緞帳が降りたとしても
終わらないことか否かとか
きちんと弁えている?

口を噤みそうだってね
“迷妄は今限り”だなんて
低能みたいだから
辞めなさい

君が如何にもならんように
相変わらずに此処は
こんな有様なのだけれど
(そして私だって)


「無常」
幸福自慢は
子供の騒ウツ
不幸自慢は大人の

それは
フラッシュバック


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