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LADY GUN
【推理 推理小説】

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生贄-9

 実際、静香を拉致しようと思えばいくらでも出来た。復讐をしようと思えば1日で済ませる自信が田口にはある。しかしなぜそうしなかったかと言うと、より快感を得るエンディングを求めているからだ。その為には婦警、加藤綾美、角田俊介は大事なコマなのだ。田口は静香にこれ以上ない復讐をする事を望んでいるからだ。
 静香は若菜を連れ城南刑務所へと出向く。謎の女の正体を明らかにする為だ。彼女の情報を握っている可能性が一番大きいのは徳山だ。徳山はR4がらみから距離を置きたがっている様子だったし、喜多や田口と現在繋がっている可能性は低いと思われたから徳山に話を聞きに言った。
 「田口徹の母親…、知ってる?」
 「あいつの母親は徹が小学生の時に見放したはずですが…。だから高田さんが徹を引き取り面倒を見ていた…って、前に言いませんでしたっけ?」
 「その母親とは別の母親よ。」
 「別の母親…?」
 「そう。私は田口徹が高校生の時に面識があるの。」
 「えっ?マジですか!?」
 「ええ。結局シロだったけど麻薬の件で疑った事があってね。彼を尾行した時に、田口徹と同居する母親らしき女性を見たの。彼自信、お母さんと呼んでたから間違いないと思う。高校生の母親としては随分若い印象があったんだけど、今思えば私が尾行してるのに気付いててわざとお母さんと呼んでいたのかもしれない。血のみ繋がりはないでしょうね。どう観ても30歳前後…、いえもっと若かったかもしれない。12歳しか違わない親子なんてよくよく考えれば違和感あるわよね?その女性が一体何者なのかを知りたいのよ。」
徳山は考え込んだ。
 「あいつは高校の時には裏でコカインを売りさばいていたのは確かです。それを手伝わせたのは高田さんだったけど、どんどん売りさばいていく徹を危惧し始めて、高田さんは徹を裏の世界から早く足を洗わせたいと常々言ってましたが、高田さんも忙しくなかなか説得する時間がなくダラダラいっている間にも徹はガンガン顧客を増やしていったんです。主に高校生、20歳前半の若い女性をターゲットに売りまくってました。コカインを売った相手とのドラックセックスを随分楽しんでいたようだし、徹が仲良くしてたのは若い女性が殆どで、30歳ぐらいの女性で仲良くしていたのはいなかったはずですが。レイプした女性を脅して飼い慣らしていたのでは?」
 「そんな雰囲気ではなかったわ?ごく自然な関係だった。それだけは間違いないわ。」
 「そうですか…。じゃあ俺には思い当たる節はないかなぁ…。高田さんが死んだ頃には、俺達が拠点としてた場所とは違う部屋にいたし、高田さんが亡くなった後俺も逮捕されたし、出てきてからは麻薬売買を何とも思わない徹から俺は離れていったし…。最近は会ってませんからね。」
 「そう…。」
長年の勘から言って徳山の証言には信用がおけた。手掛かりが見つからず落胆の色が隠せなかった。


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