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【痴漢/痴女 官能小説】

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星司の過去その2-1

【星司の過去その2】

陽子の話は続く。

「掛け落ちしてから3年経ったある日、突然星司から電話があった」

3年間も音沙汰の無いままでの突然の連絡の話は、優子にある種の想像をさせてしまった。一瞬自分の考えにビクッと身を震わせたが、流石にそれを口にすることはできない。優子は言葉を挟まずに陽子の話の続きを待った。

陽子はそんな優子の心の内を読んだかのように言葉を続けた。

「悠子が死んだって連絡が入ったの」

「うそよっ!」

そうあって欲しくないとの思いが、優子の叫んだその言葉に現れていた。

「いいえ、本当のことなの」

陽子は優子以上に辛そうな表情を浮かべた。

若い優子にとって死は身近なものじゃない。祖父祖母は4人とも健在なので尚更だ。見たことも無い悠子の事ではあったが、その突然の不幸に戸惑いを覚えた。

「ご病気だったんですか?」

「いいえ」

「じゃあどうして?星司さんの能力で回避できなかったんですか」

「その星司の能力が原因の一つ。それと悠子の弱さが悪意に負けたのよ」

辛そうにしていた陽子だったが、『悪意』に対する怒りが陽子の表情を変えた。

「陽子さん…」

「その時の星司がいつもの冷静さを持っていれば、それは回避できたかもしれない。でも、その時の星司から冷静さを奪う事があった」

「若しかして各務家に見つかったとか」

「さすがね。でも、まだ本当に見つかった訳じゃ無かった。星司の人脈の一つに家が接触しただけだったの。それも確信を持っての接触じゃなくて、可能性の一つとして接触しただけだった。でも、それが星司の落ち着きを奪った」

「それほど、2人の生活を大事にしてたんですね」

優子は辛そうな表情を浮かべた。

「そうね。だから星司は状況を把握するために、家が接触を持ったその人脈に話を聞くために家を出た。凄く不安そうな顔をしている悠子に『直ぐに帰るよ。何か有ったら直ぐに連絡するから』って言ってね」

優子は顔も知らない悠子の不安顔を想像して可哀想になった。

「そして、連絡も無いまま2日が過ぎて、ようやく星司のケイタイから着信が入った。でもね、その電話は悠子が待ち望んでいた星司からじゃ無かったのよ」

陽子が吐き捨てるように言った。

「どういうことですか!」

優子にはさっぱりわからなかった。陽子は優子の疑問に答えずに話を続けた。

「移動の電車の中でそれが起こった」

優子は『電車』の単語を聞いてドキッとした。そして瞬時に星司の身に何が起こったのかを理解した。

「もうわかったでしょ、星司は痴漢の汚名を着せられたのよ、もちろん冤罪のね」」

「変よ!星司さんだったら、そんなの回避できるじゃないですか!」

「普段の星司ならもちろん回避できたでしょうね。普段の星司なら状況をじっくり把握してから対処していたと思うわ。でも、心配事で心に余裕の無かった星司は、状況を把握する前に、直感的に動いてしまったそうよ」

「全然わからない。順序立てて話して下さい」

「ごめんなさい、上手く話せなくて」


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