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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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嫉妬......-9

「和紗さん言ってたよ!私には才能がなかったって....」
「そんな事ないわよ!和紗のピアノは....あの時、ハインツが事故で亡くなってしまわなければ....」
「ハインツ?それって....」
「あなたが再現したザッハトルテを考案した人....そして和紗の恋人....ハインツが交通事故で亡くなってしまわなければ....きっと和紗は今も....」
「あんた、ハインツさんにフラれたんだ!」
「違うわよ!」
慌てる私を見て亜梨紗は薄笑いを浮かべ
「まっそういう事にしておいてあげるよ!」
「亜梨紗!」
亜梨紗は私を無視して
「なぁ....和紗さんのお店にピアノがあったけど弾いたりしてるのか?」
「弾いてるよ!今日だって俺がチョコを作っている時に、私がいると邪魔だろうからって俺に丸投げしてピアノを弾いているんだぜ!」
「和紗のピアノ....あなたはどう感じてる?」
「俺..素人ですから....そんな素人の感想でいいなら....音符が溢れている....そんな感じです....」
「音符が溢れている?」
「ハイ....言葉で上手く説明出来ませんが......」
「ちなみに亜梨紗のピアノは?」
「あっ!オイ!それはいいだろ!」
「照れないで聞きなさい!それとも怖いの?」
「別にアタシは....」
「だったらいいでしょ!」
「ううっ......」
苦悩する亜梨紗は無視して
「どう感じた?」
純君を見つめた。
「そうですね....音符が踊っている....そんな感じです....」
「そう......」
ハインツもそうだったが一流のケーキ職人はある種のアーティストでもある。純君が感じた事は私にも似たような事を感じている。だとすれば純君も一流のケーキ職人になれると思う....
「あなたはこれからどうするの?その道に進むの?」
「いえ....カズ姉を手伝うとは思いますけど....その道に進むかはまだ....」
「そう......」
勿体ない....素直にそう思った....この道で精進したら超一流になれるのに....素直にそう思った....
「あっ!そうだ!チョコレートもあるんですけど食べますか?」
「ええ....」
「じゃぁ......」
純君は簡単にラッピングされた包みを取り出して広げた。
「これは?」
「"天使の口づけ"っていって俺が考えたチョコです。一応言っておきますけど名付けたのはカズ姉ですからね!」
「ふふふ....和紗らしいわね......」
私は一粒つまんで口に入れた。口に入れるとすぐに溶け出して、口いっぱいにカカオの香りが広がった。
「これ凄いわね!」
気づくと二つ目をつまんでいた。
「亜梨紗も食べる?」
「うん!」
純君が一粒つまんで亜梨紗の顔の近くに持って行くと亜梨紗は迷わずそれを口に入れた。
「亜梨紗!指まで舐めるなよ!」
「別にいいじゃない!それよりもっと甘いほうがいいんだけど......」
「えっ?そう?」
純君は一粒つまんで口にした。
「充分に甘いんじゃない?」
「もっと甘いほうがいい!」
「そう?だったら今度特別にもっと甘いヤツを作って来てやるよ!」
「うん!期待してる!」
「ああっ!お前が指まで舐めるから指にココアが付いちゃったじゃないか!」
そう言って純君は指を舐めていた。私は二人のほのぼのとしたこの光景を目を細めて見ていた。


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