ソレゾレノケツイ-14
本当は鍛えて筋肉ムキムキになりたいのだが、城の者達に止められている。
使わない肉は、それこそ無駄な肉だと。
思わず筋肉ムキムキのランスを想像してしまったリュディは、肩を震わせて笑いを堪えた。
「笑い過ぎです。リュディヴィーヌ嬢」
「ご……ごめんなさい……くくっ」
それでも、笑いが止まらずリュディは後ろを向いてお腹を抱える。
ぷうっと頬を膨らましていたランスだったが、まあ良いかと泡を流してリュディの居る浴槽に飛び込んだ。
「きゃあっ」
「笑い過ぎですって」
驚いたリュディに向かって、ランスは泡を軽く掬ってリュディにかけた。
リュディも笑いながら仕返しをする。
まるで子供の様な泡投げ合戦を暫く続け、自然に笑いながら唇を重ねた。
せっかく結い上げた髪も泡だらけだったが、2人共気にしない。
重ねた唇の柔らかさと、弾んだ呼吸に胸が高鳴る。
「ん……ランス様……」
ほやんと惚けた表情になったリュディに、ランスはふんわりと微笑んだ。
「どうか、ランスと呼び捨てに」
「ラ……ンス?」
「はい♪リュディヴィーヌ」
ランスもリュディを敬称無しで呼び、2人は微笑みながら再び口付けを交わす。
後は、自然に任せるだけだった。
「ん……ぁ……」
浴槽の縁に手を置いて身体が触れないようにキスするランスに、細かな気遣いを感じるリュディ。
テオと寝た事で多少は男性不審も治ったが、急にがっついたりして驚かせないようにとの配慮だろう。
優しいランスの気遣いに感謝しつつ、リュディはそっとランスの腕に手を添えた。
つつつっと肉の筋を辿るしなやかな指の動きに、ランスがぴくりと反応する。
「は ぁ 」
ため息をつくように息を吐いたランスは、照れ臭そうに笑った。
「リュディヴィーヌの方が積極的ですね」
抱いてくれと誘ってきたのもリュディだし、と押され気味のランスは男として少し情けなくなる。
「ランスの身体……綺麗ですから……触ってみたくてつい……」
ダメですか?と首を傾げるリュディに、ランスはずきゅんと胸を打たれた。
「嬉しいですよリュディヴィーヌ♪やっと自分の身体が好きになりました」
作られた肉体は好きではなかったが、リュディが好きなら自分も好き。