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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ソレゾレノケツイ-13


 リュディは緑金髪をくるくると結い上げ、息を吐いた。
 気を遣ってくれているのだろう……女性とのお風呂など慣れきっているだろうにリュディをリラックスさせる為に……ふと、脱衣場の棚を見ると沢山の入浴剤が置いてあり、リュディはひとつひとつ手に取って説明文を読む。
 好みの入浴剤を選び、既に張られているお湯に注ぎ入れて掻き回すと、細かい泡が立った。
 これなら浴槽にさえ入っていれば見られない。
 身体を隅々まで綺麗に洗ったリュディは、湯船に浸かってから外で待っているであろうランスに声をかけた。

「ランス様……よろしいですよ」

バタン

ガタガタ

 リュディの声がかかったと同時に、騒がしい音がする。
 まるで餌を目の前にお預けを食らっていた犬が、食べて良し、と許可を得たような……そんな感じ。

「リュディヴィーヌ嬢♪」

「ぷっ」

 両手を広げてバスルームに入ってきたランスは、ちゃんと腰にタオルを巻いていたのだが、髪型がちょっと違った。
 ランスの長い黒髪はリュディと同じようにくるくると結い上げられ、キラキラの宝石が付いたバレッタで留められていたのだ。
 思ったよりもたくましい肉体や、中心が盛り上がった腰のタオルも気になるのだが、髪型の方が異様でリュディは両手を口に当てて笑いを堪える。

「?どうしました?」

「だって……その髪……」

 女性の様に結い上げられた髪型は、妙にランスに似合っていて益々笑える。

「お揃いです♪」

 笑われているのを気にする風でもなく、ランスは身体を洗い始めた。
 リュディは笑いながらランスの身体をじっくりと眺める。
 テオの場合、野性的な筋肉の付き方をしていたが、ランスの場合は計算された綺麗な肉の付き方をしていた。
 普段、肉体労働をする訳でもないので自然に筋肉が付く訳がなく、かと言って贅肉だらけの王子様など格好悪い。
 なので、一応トレーニングはするがそれは実用的では無く、見た目重視の筋肉を付ける為のもの。
 結果的に、彫刻の様な芸術的な身体になるのだ。

「あまり見ないで下さい」

 ランスは口を尖らせ、いじけた顔でリュディに言った。

「綺麗……ですよ?」

「こんな作られた肉体は綺麗じゃありません。綺麗なのはテオドアや冒険者達のように鍛えられた肉体です」

 思わず手に持っていた泡だらけのスポンジを握りしめ、あちこちに泡が飛び散る。



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