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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ソレゾレノケツイ-10


「そだね。エザルの吸血蔦はアタシの責任でもあるし……分かった。まずはそれから!」

 パルは突き出されたテオの人差し指に、自分の人差し指を絡めて指切りの真似事をする。
 それが妙に可愛くて抱きしめたくなったテオだったが、ここはグッと我慢。

「ところでさ、ランスの奴リュディにプロポーズしたらしいぜ」

 指を離したテオはポケットに両手を突っ込み、部屋へと歩きながら話を反らした。

「わお。ランスってば王子様でしょう?普通は貴族とかどっかのお姫様がお相手なんじゃないの?」

 興味津々で聞き返すパルは、宣言した通りテオの告白を忘れたようだ。
 パルは素直で正直……そんな所も可愛いなぁ、などと思いつつ話を続ける。

「まあな。でも、リュディだって一応貴族だろ?」

 以前パルに聞いた話では、まともに産まれていればその国の王子の妃候補だった筈だ。

「つうか、お前らってどこの国に居たんだ?」

「人間がつけた土地の名前なんか知らな〜い」

 国や土地の名前など魔物には関係ない。
 住みやすいかどうかだ。

「だよな。今度リュディに聞いてみるか……」

「そういえば、さっきリュディと何してたの?」

「ランスの話……え?何?妬いてくれてんの?」

 微妙に嬉しくなったテオは、キラキラした顔でパルに振り向いた。

「え?何で?」

 ただ疑問に思っただけ、と答えるパルはきょとんとした表情だ。
 パルは素直で正直……本っ気でエザルの問題が片付くまで、テオの告白の事を忘れたようだ。

「……いや、何でもねぇ……」

 魔物は気持ちの切り替えが速いのか……エザルの問題が片付いても思い出さなかったらどうしよう、と心配するテオなのだった。


 思い付いたら即行動。

 喋りがポツポツで運動神経もあまり良くないクセに、リュディは誰よりも行動派だった。
 テオと話して、とりあえずランスと向き合ってみる事に決めたリュディは、その足でランスの部屋を訪れる。

「どうされましたか?リュディヴィーヌ嬢?」

 昼過ぎには出発の筈なのに、準備は大丈夫なのか?とランスは驚いた。

「私……不器用なので……同時に2つの事は……考えられません」

 だから、気になる事はその都度片付けていかないとダメなのだ。



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