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LADY GUN
【推理 推理小説】

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田口徹-5

 何発も標的に向かって発砲している内に、自分が抱いている感情がはっきりと分かってきた静香。標的が田口徹に見えてきた。
 (上原さん、私は愛情を持って銃を撃つなんて事、出来そうにもありません…。)
田口徹の人生をやり直させる為に銃を握る事などとてもじゃないが無理だ…はっきりとその自分の気持ちに気付いた瞬間、静香は銃を撃つのを止めた。そして大切なLADY GUNを見つめ、自分がこの銃を握る資格があるのか自身を失いかけていた。
 その時、捜査から帰って来た若菜がやってきた。
 「火薬臭っっ!」
鼻を摘む若菜。
 「お帰り。ちゃんと取調べできた?」
 「バッチリですよ!神の存在はやっぱ分かりませんでしたけど、田口徹の件に関してはいっぱい証言取れました。」
 「じゃあ後で報告してもらうわね。若菜、撃ってみる?」
静香は何となくLADY GUNを若菜に差し出してみた。どうせ嫌がるんだろうなと思ったが、若菜は感慨深げな表情をして手にした。
 「お父さんが先輩に送った銃…」
色んな捜査をするうちに、この銃に対する思いも募っていたようだ。若菜は装備を整え標的に向かって構える。
 (へぇ〜…)
なかなかサマになっていた。表情もいい。そして呟いた。
 「憎しみではなく愛情を持って…」
パン、と音を立てて放たれた銃弾は、人間でいう頭部の真ん中…、標的の中心に命中した。
 「す、凄いじゃない!!」
驚きの後に喜びが湧き上がる。
 「私だって密かに練習してますから。」
憎らしい程のどや顔が愛らしく感じた。何発か撃ったが、どれも撃つ前に口にした箇所を撃ち抜いた。
 「見直したわ!」
 「でしょ〜??火薬臭くなりながら頑張りましたから。でも頭や心臓を目掛けて撃つのはやっぱ苦手です。だってそこ撃ったら愛情もへったくれもないじゃないですか。」
 「そうね〜。」
頭と心臓しか撃ち抜いていなかった自分が恥ずかしく感じた。
 「あ〜あ、また火薬臭くなっちゃった…。」
 「じゃあ報告聞いて今日はもう帰りましょう?明日からまた忙しくなるからね。」
 「は〜い!」
射撃訓練場を出て行く2人だった。それから取調べ内容を報告した若菜は静香とともに角田の車で家へと送ってもらった。言うまでもなく、角田は静香の部屋に泊まる。


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