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LADY GUN
【推理 推理小説】

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田口徹-4

 自分の父が殉職した時の状況は母親からも聞いていない若菜。若菜自身も辛くなるだけだと思ったので敢えて聞こうとはしなかった。署員達も若菜の耳には入らないように気を使っていた。
 若菜は麻薬所持で捕まった容疑者の取り調べを任され静香とは別行動をしていた。静香が高田不動産から帰ってくると捜査会議が行われた。
 「今までの調べで分かった事をまとめます。犯人は田口徹、24歳。R4コーポレーションの取締役社長です。田口が社長に就任したのはつい最近の事です。それまでは難波洋平ていう者が社長となっていましたが、それは登録上のみの名前の使用でした。輸入車業の業務自体が休止状態でした。しかし水面下では麻薬売買をして資金を得ていた事も分かりました。そして輸入車業務を再開したと同時に田口徹が社長に就任しました。その田口徹は、15年ほど前、城南署管轄から始まったあの連続レイプ事件の主犯格、"神"と呼ばれた人物に可愛がられていた、当時は小学生3年生の少年でした。それまで同級生の女子に苛められる毎日を過ごしていた田口にレイプという手段でその少女に復讐を遂行させて以降、田口は神と行動を共にするようになりました。ですから田口は神の手口をいつもそばで見ていた事になります。今回の事件がその事件を彷彿させるのはそのためだと考えられます。すなわち今回の犯人は田口徹と考えて間違いないと思われます。」
水を打ったかのような静けさの中、静香は一度大きく息を吸い、ゆっくりと吐いた。
 「神はある日突然にその姿を消しました。神がレイプ事件を起こした女性達の中には不当な手を使って手に入れた大金を隠し持っていた者もいました。それらの総額の合計は億を超えていたと推測されます。その管理をしていたのが高田道彦でした。神はお金には全く興味がなかったそうで、恐らく姿を消す時に全て高田に譲渡したものと考えて間違いありません。それがR4コーポレーションを設立する資金になったと考えられます。彼の親、高田泰明も不動産業をしており資産家で裕福ではありますが、道彦の為に資金は提供していないとの事でした。ではどこから金が出たのかを考えると、やはりそう考えるのが妥当かと思います。その資金の中から麻薬を購入し売りさばいて資金を増やしていったのでしょう。神が消えたと同時に高田は田口を実の弟のように可愛がっていました。現在服役中の喜多も、釈放された徳山もその様子を語ってます。そんな実の兄のように慕っていた高田道彦の命を奪った皆川静香が憎い。警察というよりは皆川静香に復讐を遂げる為の事件…そう考えて間違い無いと思います。私は未だに辛い思いをしている婦警達に申し訳なく思ってます。早く助けたい。命に代えても一刻も早く助けてあげたいと思います。田口はどこかで私を見ているはずです。私をマークして周りに田口らしき影はないか監視の方をお願いします。もう一度、山奥にある倉庫らしきものがある場所を徹底的に探して下さい。田口は身を隠してじっとしているタイプではありません。警察を嘲笑うかのように紛れて近くで私たちが汗水垂らして探しているのを見て楽しむようなタイプです。必ずどこかに姿を現してます。一刻も早く田口徹を見つけだしましょう!」
 若菜の言葉に志気を高める捜査員達。夕方だが捜査に散って行った。
 「気持ちは分かるが、でも命を粗末にしてはいけないぞ?ワンマンプレーはダメだからな?1人じゃない、みんなで一丸となっていくんだ。分かったな?」
 「上原さんに救って貰った命…、そう簡単には失いません。簡単には死ねませんから。若菜も育ててない。今回の事件で田口徹を逮捕し、そこからたくさんの物を学ばさなければいけませんから。心配ありがとうございます。」
静香はそう言って射撃訓練場に行った。正芳から渡されたLADY GUNを握りしめ、標的に狙いを定め銃を撃ち続けた静香だった。


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