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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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星司の過去その1-2

「ううん、そんなんじゃないわよ。各務家は家柄とかはそんなに気にしないの。主に重視するのは性格かな」

「性格でダメだなんてうそでしょ!星司さんが選んだ人が性格が悪いなんて信じられませんよ」

「ううん、性格の良し悪しじゃないの。まあ、それも多少は有るけど強いて言えば強いか弱いかなの。悠子はね、優し過ぎたのよ。と言うより弱かったのよ、かなりね」

「弱いと結婚したらダメなんですか?」

「考えてもごらんなさい。各務家の内情は凄く特殊なのよ。並みの神経だったら耐えれないくらいにね。それにそれだけじゃない、星司はいいとしても、父にも祖父にも心の内がいつも筒抜けなのよ。心の弱い人に耐え続けられると思う?」

「さ、さあ?その場にならないとわかりません」

優子は正直に言った。

「それは優子ちゃんの心が強いからそう言えるのよ。心の弱い子に同じ事を聞いたら答えは違うわ」

陽子の言葉に優子は何も言えなかった。

「それで悠子は去っていった」

「そんな事って…」

「星司は落ち込んだわ。その気分を紛らわすために2年程ほど海外に留学した。でもね。結局星司は悠子の事を諦められなかった。と言うよりも弱い悠子を放っておくことが出来なかったの」

「じゃあ、反対を押し切って結婚したんですか?」

「ええ、全てを捨ててね」

「えっ?」

「星司は各務の名前を捨てて掛け落ちしたのよ」

「凄い!」

優子はロミオとジュリエットの様な2人に感動を覚えた。

「ええ、とてもロマンチックでしょ。凄く幸せだったそうよ。3年間は…」

陽子は目を伏せた。

「3年間?それってどういう意味ですか?まさか各務の家が2人の仲を裂いたの?」

話を聞く内に優子は2人の応援をしたい気分になっていた。だから陽子の意味深な発言に心が騒いだ。

陽子はその問いに答えるために顔を上げた。

「いいえ、家はこの事に直接関わってないの。でも、勿論家でも星司の事は探したわ。当然よね。これからの各務家を背負っていく人材なんだから。あたしも各務家が探索すれば直ぐに見つかると思ってたわ。けど、星司の方が巧妙だった。それよりも星司の方が父や祖父よりも能力も強かったみたいね。痕跡を一切消して見つからないようにひっそりと暮らしたそうよ」

その陽子の言葉に、優子は一般的な庶民として疑問を持った。

「で、でも、ひっそり暮らすにしてもお金が掛るはずよ。お金を得るために就職しなきゃいけないし、住む処を決めるにしても住民票とか免許証とか、それに保証人だって要るでしょ。今の日本で庇護も無いまま全く痕跡を無くすなんて無理じゃないですか」

「だから星司は巧妙なの。後で聞いた話だけど海外の2年間で各務家の関知しない人脈を作ってたそうよ。この頃から掛け落ちを想定していたみたい。それに星司は凄くお金持ちなの。それも各務家が関与しない星司が個人で築いた資産よ。各務家の人間ならお手の物ね。世の中人脈とお金次第ということよ。帰国後、纏まったお金を現金で引き出した星司は、家の全く関与しない知人に住居を代理で借りて貰ったそうよ」

「じゃ、じゃあどうしてですか?折角望んだ生活なのに、どうしてそれが終わったんですか?」

「その事が星司のトラウマ。そして車両を始めた切欠になるのよ」

陽子の真剣な目に優子は不安と戸惑いを覚えた。



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