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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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うちの愛猫-8

あたしには馴染みの、白い毛並みの愛猫はリビングに入ってくるなりあたしを見た。


夜の黒目が大きくなった時の顔が一段と可愛くて、あたしは目を細めつつも、普段と違う愛猫の様子に首を傾げた。


この子は元来の性格が、人見知りがすごくて、気性が荒くて家族以外には懐かない、気難しい猫なのだ。


だからこの子が、他人がいるのに姿を現したことが驚きだった。


「ああ、猫飼ってたんだ」


久留米さんはチラッと愛猫に視線を移した。


「はい、でもこの子、お客さんがいる時は絶対姿を現さないのに……」


不思議に思いながらも、あたしは彼女がこちらに来るように“トトト……”と舌を鳴らしながら自分の太ももをポンポン叩いた。


すると、彼女はトコトコこちらに歩いてくる。


久留米さんのこと、気付いてないのかなと思いながら彼女を抱き上げようとしたが、彼女はスルリとと身を交わしてあたしの足元を通り過ぎて行った。


そして彼女は久留米さんの足元に止まったかと思うと、いきなり彼の膝に飛び乗ったのだ。


「ええ!?」


その様子に久留米さんよりもあたしの方がびっくりした声を上げてしまった。


久留米さんは固まったまま、膝に飛び乗った彼女を見つめていた。


そんなことしたら、久留米さんの服に毛がついちゃうじゃない!


あたしは慌てて、


「コラッ、メイ! そこから降りなさい!」


と、メイを叱った。




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