投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

雨、消ゆる
【その他 その他小説】

雨、消ゆるの最初へ 雨、消ゆる 0 雨、消ゆる 2 雨、消ゆるの最後へ

雨、消ゆる-1

手の甲をすべる。
屋根を探し走り出した。ぬらしてはいけない。そう思い走り出した。走り出し足が土を蹴る早さになれた頃
さざぁ
と激しく降り出した。手を守るように胸に押しつけ、やっと見つけた屋根の下で呼吸を落ち着ける暇もなく手首を見た。あるはずのものがそこにはなく、
「切れた」
つぶやいた言葉が雨音にすいこまれた。手首にわずか残った赤い線は、とぎれとぎれにそこにあったものの存在を示していた。
雨宿りをするには濡れすぎた体を抱きかかえるように、うつむいてしゃがみ込んだ。「約束の印だ」そういってこの手首に結んでくれた人を思い出していた。
「とうとうなくなってしまったよ。」
そう言い、顔を上げ降り続く雨を見た。頬に伝う雨はそのままにしておいた。これだけ濡れてりゃどうせわかりゃしないから。
膝を抱えてしゃがんだ格好で膝に頬を乗せたいつ帰れるだろう
いつ止むだろう
あの人と交わした約束を守るために私は帰らなければ。約束の証が消え、あの人のこえがきこえなくなっても。


雨、消ゆるの最初へ 雨、消ゆる 0 雨、消ゆる 2 雨、消ゆるの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前