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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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一生分の恋-1

「ふぅ....終わったぁ....」
期末テストが終わると拓弥は大きく背伸びした。
「ああ....やっと終わったな....」
俺は拓弥に答えた。
「なぁ?お前は明日からはどうするんだ?」
「ん?別に決めてない......お前は?」
「俺も......来ないといけない時は休みにならないかな?って思っていたのに......なんか不思議だな?」
「そうだな......」
期末テストが終わると俺達三年生は自主登校になる。学校に来るも来ないも自由なのだ。赤点を取った奴は補習が待っているが俺にはそんな心配はなかった。
「あっ!そうだ!お前これからヒマ?ヒマならカラオケでも行かないか?」
「悪いな拓弥!約束があるんだ....それじゃ....また電話するから......」
「そうか......」
そう言って俺は教室を出て待ち合わせの場所へと向かった。



教室を出て行く葛城君を見て私は焦っていた。もしも葛城君が学校に来なければ逢えなくなってしまうからだ。笑美ちゃんは葛城君と同じマンションに住んでいるからまだチャンスがあるだろうが私は......
(どうしよう......)



待ち合わせのカフェに入ると瑞希ちゃんが手を上げて合図してくれた。
「ゴメン....待った?」
瑞希ちゃんの横には亜梨紗も座っていた。
「ううん....別に......」
亜梨紗が素っ気なく答えた。
「で....話って何?」
瑞希ちゃん達の前の席に座って話しかけた。
「これ....純君だよね?」
亜梨紗がスマホの画像を見せた。それは梓さんの会社の窓に貼られているポスターの写真だった。
「ヤッパ......わかっちゃった?」
「すぐにわかった....」
「わからないと思っていたんだけどなぁ......」
「お前......もしかしてこっちの趣味に走ったのか?」
「そんなワケないだろ」
俺は慌てて否定した。
「こんな事を聞くためにわざわざ呼び出したのかよ......」
「違う!単なる確認だ!お前にこっちの趣味があると困るから......」
「なんで?」
「それは......お前の事が好きだから......」
「えっ!!!!!!」
亜梨紗の言葉に俺も驚いたが
「亜梨紗!!!!」
瑞希ちゃんはそれ以上に驚いていた。
「ヤッパ......おかしいかな?アタシなんかがお前の事を好きになったりしたら......」
「そんな事ないよ!亜梨紗!そんな事ない!」
瑞希ちゃんが嬉しそうにはしゃいでいた。俺が何も答えられないでいると
「返事......聞かせて欲しいんだけど......」
「あっ!ゴメン......」
「やっぱりダメか......」
亜梨紗が落ち込んだような声を出した。
「違うんだ!別に亜梨紗の告白に断る意味でのゴメンじゃなくて......あの......」
「えっ?」
「俺......何言ってるんだろうな......」
「っ......」
亜梨紗は息をのんで俺を見つめていた。
「少し考えさせてくれ......」
「えっ?いいのか?」
「亜梨紗がそれでもいいなら......」
「いいに決まってるだろ!アタシは......アッサリとフラれるって思っていたから......考えてもらえるだけでありがたいよ......」
「亜梨紗......」
「ありがとう......気を遣ってくれて......」
「俺は別に気を遣っていない......ただ真剣に考えたかったからそう答えただけだ......」
「そうか......」
「うん......あっ!俺これから約束があるから......」
「ゴメン......手間をとらせたな......」
「別に......なるべく早く返事するから......」
俺は亜梨紗にそう告げると逃げるようにカフェを飛び出していた。




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