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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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不安-4

 夜遅く帰ってきた妻は、さすがに疲れた顔をしていた。服が汚れていることも気付かずに慌てて帰ってきたのだろう。不謹慎にもその姿に性欲を覚えた。抱きたいと思ったけど疲れている様子なのであきらめた。ところが妻の方から誘ってきたのだ。すぐに頬張り、上に乗ってきた。驚くほど積極的だった。最後は精液を口で受けたのだ。驚きと共に妻に愛されている実感をひしひしと感じながら、興奮のあまりもう一度挑みかかった。それ以上に妻を愛しているということを伝えるためがんばった。正常位の形でもしばしば抜け落ちることもあるので、妻の体から抜けないよう必死で成し遂げた。
 次の朝、爽やかに目が覚めた。疲れ果ててパジャマも着ずに寝てしまったらしい。首まできちんと布団が掛けてあった。妻がそうしてくれたのだろう。終わったあと妻がのろのろと起き上がるのを見ているうち睡魔に襲われたのは覚えている。そのまま朝まで起きなかったのだ。こんなにしっかりと熟睡できたことなど、かつてなかったように思う。
 自慰行為を覚えたばかりの若い頃でも続けて二度はない。もちろん妻とも初めてのことである。この年齢で二度も続けてできたことが新鮮で、何だか若返ったようでとてもうれしかった。
 妻は先に起きて朝食の支度をしていた。その姿を目にしたとたん落ち着かない気分になった。「おはよう」と声をかけると、「卵が二つだけ残っているので目玉焼き二個入れますね」と言い終わらないうちジュージューと音が聞こえた。起きてくるのを見計らってフライパンに卵を落としたのだ。背を向けてキッチンに立っている妻に、胸の中で手を合わせ感謝した。
 新聞を広げて目で活字を追っているが、見出し以外頭に入ってこない。ハムエッグとサラダをのせたお皿を目の前に置いて「おはよう」と妻は言った。新聞紙から目だけをちょっと覗かせ「ああ、おはよう」と返してすぐに新聞紙に隠れたのである。そのあと挨拶挨拶が二度目だと気付いて顔に火照りを感じた。こうまで妻に気後れする自分がいやになる。そのまま妻はテーブルの向かいに座った。
「まだ起きてきませんね」
 天井を見上げ、艶然とほほえんむ妻にドキドキした。会社へ行く時間になっても娘は起きてこなかった。いつもなら妻が起こしにいくのだが、なぜか今日はそうしなかったせいもある。
 靴を履いていると妻がたたきまで下りてきて、狭い玄関の中でネクタイを直しながら「また、ゆっくり、しましょうね」――顔を上げずに囁いたのであった。うろたえたながら慌てておもてに飛び出していった。いくつになっても、どうしてこんなに小心者なのだろう。


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