神とモンスター-1
動画を細かく分析した静香と若菜。そのレポートを若菜がまとめている。静香は神と呼ばれる覆面男、高田道彦と思われる覆面男、そして小学生らしき覆面男が映っているシーンをそれぞれ編集してまとめていた。
｢神と呼ばれた男…まるで映画の主人公ね。大胆で凶悪…。何より存在感…。人を惹きつける物を持っているよね。誰もがそれを持っている訳ではないし、これほどまでのカリスマ性を持ち合わせる人間はそうはいないわ。｣
｢良く何であんなインチキ宗教に入っちゃう人がいるんだろうなぁって不思議に思う時ありますけど、そういう物を持っているからなんですねー。確かに先輩が教祖様だったら私、すぐ信者になりますもん。｣
｢…ウケる〜。｣
｢…使い方間違ってますよ？教祖様♪｣
｢その呼び方止めなさい！｣
静香はいつかウケる〜の一言を言いたかった。満を持して言い放ってみたがどうやら不発だったようだ。恥ずかしさ以外何も残らなかった。
｢と、とにかく初めはただのレイプ犯だったけど、世間的に煙たがられている女性や悪事を働いている女性を狙ってレイプする事によってある意味世直し的な行為に思えてきた男達が神の後についていってどんどん数を増やしていったのね。だから覆面男達にとっては悪い事をしている意識はなかったのかもね。悪い女をやっつけているんだ、ってね。特に世の中から煙たがられているレディースの少女達をレイプ成敗した時はまるでヒーローになったかのような気分になったんだろうなぁ。調べによるとレディースの少女達は街で我が物顔で悪事を働いていたらしいから、返って喜んだ人間が多かったかもね。その繋がりでモデル会社の女社長がモデル達を使って仕事先でわざとクレームをつけて違約金を取りまくっていたのを狙ってレイプで壊滅させたり。いわゆる嫌な女を狙う事によってレイプを正当化させていたのかも。あの時も社会問題になったけど、犯人達をカッコいいと捉える若者が多かったらしいし。始めから世論を味方につけようとしていたなら犯人はやはり知能犯ね。ちなみにモデル会社を潰した時にその会社にあった裏金は勿論、口座からも全額おろされてて、そのお金がどこに行ったか分かっていないという事だから、犯人はそこで大金を得た事になるわね。｣
｢いくらですか？｣
｢口座から３億、裏金で5千万あったとの事よ。｣
｢さ、３億５千万！？｣
あまりの額の多さに驚いた。