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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの世界-18

でも、久留米さんはあたしの顔をジッと見つめて、


「なんか嫌なことでもあった?」


と、訊ねてきた。


ああ、こうやって心配されると、あたしは弱い。


泣き出すつもりなんてなかったのに、久留米さんの気にかけてくれた言葉に身体が勝手に反応して、瞳からハラハラ涙が零れてしまい、


「……元彼が、他の女の子と親しげに歩いてるの見て……、それで自棄酒しようと思ったんです……」


と、いつの間にかあたしは彼に先ほどの出来事を愚痴っていた。


めったに他人に弱みを見せないことが自慢だったあたし。


だから、大抵いつも他人からはしっかりしてるイメージを持たれていた。


でも、あたしはこの人の前だと恥ずかしい所やダサい所、カッコ悪い所ばかりしかさらけ出していない。


今だってそう、別れた男を諦められずにウジウジ泣いてる姿を見せるなんて、あたしのプライドが許さないはずなのに、なんでかこの人の前ではどうしようもなく弱い部分が自然に現れてくるのだった。



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