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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの世界-13

家で飲むことなんて皆無のあたしには、どれが美味しいのやらさっぱりわからない。


とりあえず、テレビのCMで頻繁に目にする缶酎ハイを何本か手に取りカゴの中に入れた。


グレープフルーツ、巨峰、梅などの無難な路線のお酒を選び、次はカクテルの入った瓶が並んだ棚に目を移す。


カクテルなんてカシス系しか飲まないあたしには、名前と色だけではどんな味がするのか想像もつかない。


でもカラフルな彩りのカクテルを眺めてみればどれも美味しそうに見えて、あたしはその中でも鮮やかなスカイブルーの液体が入った瓶を取り出した。


「んー、これにしてみよう」


そうひとりごちて、瓶をカゴに入れた瞬間、


「それ、激マズ」


と背後から聞き覚えのある声があたしの背中に投げかけられた。


びっくりしてバッと後ろを振り返ったあたしは、大きく目を見開いて、


「あ!」


と、声を漏らした。


見れば白いTシャツとジーンズという、シンプルないでたちをした久留米さんがニッと少しだけ笑って立っていた。


「く、久留米さん!」


「それ、なんか薬臭いんだよ」


彼はそう言いながら、6本パックの缶ビールを棚から取り出すと、自分のカゴに入れ始めた。


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