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LADY GUN
【推理 推理小説】

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愛とレイプ-1

 中央署で始まった捜査会議。緊迫したムードに包まれていた。
 「まず、上からのお達しだ。報道陣への質問には一切答えないように。それでは今朝発生した我が中央署、弓野聖子殺害事件について捜査状況を説明して欲しい。」
 「はい。」
実況検分に立ち会った宇野賢治警部補が立ち上がる。
 「弓野聖子さんの左胸に一発の弾痕がありました。弾は貫通しており体内には残っていませんでした。しかし現場には血痕らしきものは残っておらず着ていた制服にも付着しておりませんでした。加えて制服には銃弾が放たれた形跡がありませんでしたので別な場所で殺害後、流血が止まった後に更に体を洗い流して制服を着せ現場に運んだと推測されます。なお前日には現場の小屋に十字架などなかったという証言が多い事から遺体を十字架に張り付けた状態で運び小屋の屋根にとりつけたものと考えられます。」
 「なんていう…」
奇怪な行動に息を飲む捜査員達。
 「死亡時刻は昨夜の夜11時頃と推測されます。いつ小屋に遺体を運んだのかは不明です。今の所目撃者はいません。」
 「犯行は1人ではないな?」
 「状況から年密に計画し素早く実行したものと思われます。手際が良すぎるとしかいいようがありません。複数の犯人達により手際良く事を進めたのではないかと推測されます。」
 「そうか…。しかし何故血を抜いてから制服を着せあんな場所に遺体を見せつけるように置いたんだ…。」
考え込む中山に現場の所轄の城南署長、吉田義範が発言する。
 「あの場所は…」
そう言って言葉を詰まらせた。その意味は静香には分かっていた。あの場所が何の場所かに気付いたのは吉田の他には静香だけだった。一回唾を飲んでから中山は発言を続けた。
 「あの場所は…今から十数年前に起こった、未だ未解決事件である連続レイプ事件の発端とされている、当時私の部下であった美山静香という警部補がレイプされた場所なんです。」
 「な、何…?」
若い刑事らには話でしか聞いた事はない過去の事件だが、中山を始め中堅所の警察官は実際に捜査に加わっていた者も多い事件だ。多くの捜査員達が吉田に注目する。
 「あの小屋、レイプ、婦警…あの事件の犯人がなにかしらの理由で再び犯行を始めたのではないでしょうか…。」
 「可能性は大きいな。しかしあの事件の犯人は20代中盤ぐらいだと推定されていた。あれからもう十数年経過している。もう40歳近い年齢になっているだろう。私は同一犯というよりもあの事件の犯人に深く関わる人間の犯行の可能性が高いと思っている。確かにあの事件の犯人を見つけ出せば今回の容疑者特定に大きく近づくだろう。しかしあの時の犯人の犯行らしき事件はピタリと消えてしまった。そして最近麻薬がらみで逮捕された女性の多くがレイプされた経験を持つ実情、そしてあの事件を思い出させる今回の婦警誘拐事件…全てレイプで繋がっている。まずはレイプ被害者の女性を出来るだけ多く探し出し身の安全を保証して証言を集めるんだ。加えてあの事件の時のレイプ被害者を再度リストアップして証言を得て欲しい。レイプが鍵だ。そこから絶対犯人に繋がるはずだ。分かったな!」
 「はい!」
捜査員達は会議室を飛び出して行った。


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