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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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アイノカタチ-9


 その頃、クラスタ要塞に残って暇を持て余していたパルは、デレクシスのお茶に付き合っていた。
 ソファーに腰かけて足をぷらぷらさせるパルは、甘いココアを口にしながらデレクシスの横に座るバートンを見る。

(美味しそう〜)

 デレクシスも美味しそうだが、野性味溢れそうなバートンの方がパルの口に合いそうだ。
 長い舌で唇を舐めるパルに対し、バートンはゾクッと背中を震わせて首を傾げる。

「パルティオちゃんは行かなかったのかい?」

 デレクシスの問いかけにパルは頷いて答えた。

「黒海には近づかない方が良いかなって思ってさ。魔物になっちゃうもん」

「?魔物のが楽なら魔物になりゃ良いじゃねぇか」

「う〜ん……そうなんだけど、魔物の方は動きが鈍くさいんだよねぇ無駄におっきいし」

 のっそり動く巨大な蜥蜴では進行も遅くなるし、正直邪魔だ。

「それに、リュディ以外はアタシの魔物姿知らないもん。見たら絶対ヒくし」

 そこが1番の理由。

「奴らは人外の奴らにゃ馴れてるぜ?大体、テオドアの育ての親ぁ魔物じゃねぇか」

「そうなんだけどねぇ……ね、テオのお父さんってどんな魔物なの?」

 問われたバートンは人差し指で顎を叩きながら答える。

「灰色の毛皮を纏った、獅子の鬣を持つ狼男っつう感じか?」

「そうだね……私には銀色に見えたな。サラサラの尻尾がキラキラして綺麗だよね」

 視線を向けられたデレクシスは遠くを見る様な目で補足した。
 それを聞いたパルはぷうっと頬を膨らます。

「んじゃ、益々変われないじゃん。アタシはキレイじゃないもん」

 テカテカした黒い鱗のどてっとした蜥蜴……羽は有るがその羽でその身体が持ち上がるのか?と疑問に思うぐらいのサイズ。
 平たく言えばデブなのだ。
 だから人間の姿に変わる練習を始めた時、出来るだけ小柄で可愛らしい姿になるように努力した。
 今のパルの姿はコンプレックスからくる姿なのだ。

「ガッカリするテオの顔が目に浮かぶぅ〜」

 パルは頭を両手で抱えてぶんぶん振る。
 その様子は「明日のデートは何着よう」みたいな感じで、デレクシスとバートンは思わず苦笑いしてしまう。
 


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