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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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アイノカタチ-4


「何か……あった?」

 リュディは2つのカップにコーヒーを注いで、パルの前にちょこんとしゃがんだ。

「うぅ〜〜〜」

 頬を包んでいた両手でカップを受け取ったパルは、先程の事を話す。

「……魔物に……ならなかったの?」

「なれなかたの……だって、テオはアタシの魔物の姿知らないもん」

 本当のパルは蝙蝠の羽を持つ、巨大な蜥蜴。

「テオに……見られたく無いの?」

「……だって……普通、ひくでしょ?」

 リュディは魔物の姿が先だった。
 しかし、テオは多少魔物化している人間型しか知らない。
 それに、蜥蜴といっても砂蜥蜴とは違う。
 砂蜥蜴などは2足歩行で前足が退化した、どちらかというとドラゴンに近いタイプだが、パルはずんぐりとした4足歩行。
 正直、カッコイイ訳ではない。

「……テオはひかない……と思う」

 リュディが両性具有でもひかずに接してくれたし、セックスまでしてくれたテオがパルの魔物姿ごときでひく筈がない。
 ましてや、育ての父親も魔物だし……魔物は見慣れているのでは?とリュディは首を傾げた。

「うん。だけどさ……それなのにひかれたら……ショックじゃん?」

 もしかしたら、を考えると魔物になれなかった。

「それにさぁ〜いくら食事抜きでヤッたからって、朝起きたら横に居ないから探すとか?意味分かんない」

 そう言ってコーヒーを啜ったパルの目に、ぽおっと頬を染めたリュディが映る。

「やだ……テオったら……可愛い」

 テオの純な行動に萌えるリュディ。

「どっこがぁ?無意味だよぉ」

 挨拶だけで探すとか、しかもその挨拶がただの軽いキスとか……無意味極まりない。

「やだやだ……ただの軽いキス……?やだ……本気で可愛い……」

 リュディはパルをほっといて1人でくねくね悶えた。

「そんなにテオの行動が萌えるなら、リュディが相手をすれば良いのに」

 欲求不満解消ならリュディでも良い筈だ。

「違う……パルにそういう事をするテオが可愛い……私にして欲しい訳じゃない……」

 リュディはニコニコしてパルの頭を撫でた。

「テオは……パルに『好き』の気持ちを……教えたいんじゃないかな……?」

「?リュディもテオも好きだよ?」

 ランスもノアも、パルを受け入れてくれた人間の事は好きだ。



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