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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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アイノカタチ-17


「このっ……大馬鹿者!!」

 クラスタ要塞内にバートンの怒号が響いた。
 ベットに寝たままのテオは、肩をすくめて右手で少し掛け布団を引き上げる。

「自分の力量が計れねえからこういう事になるんだ!!ランスとノアを助けたのは誉めてやるが、結局それ以上の迷惑かけてんだろうがぁっ!!」

 あの後、ノアの浮遊魔法でテオを追いかけたランス達だったが、強い風のせいで大分流されてしまってテオの居場所に行くのが遅れた。
 一方、パルが進んだ洞窟はテオの居た場所の直ぐ近くに通じており、彼女の方が先に辿り着いたのだ。
 パルとは違う方を選んだバートンは、クラウディアの抜群な視力のおかげで裂け目内に居るランス達を発見。
 裂け目に降りて合流した所でパルが炎を吐き、その灯りを頼りにテオの居場所に着いた。
 その時には既に戦いは終わっており、うずくまる魔物パルと、その彼女に抱えられるようにして眠るテオだけがそこに居たのだ。
 その後、バートンとクラウディアはテオを連れて要塞に戻り、他のメンバーは裂け目に残ってベランナの調査と収穫。
 要塞に戻ったテオは治療を受け、さっき目が覚めた所、バートンに事情を説明されつつこっぴどく怒られているのだ。

「あの場面での正しい判断は、落ちないように掴む事だ。そしたらノアが浮遊魔法がかけれるだろ?無理して引き上げたりすっから自分が落ちんだよ馬〜鹿」

 現場経験の少ないヒヨッコ冒険者にも良く見られるのだが、咄嗟の動きが力任せ。
 それが上手く行けば良いが、大抵は力足らずで失敗する。

「……反省してます……」

 掛け布団で顔を半分隠したテオは、しゅうんと落ち込んでバートンに謝る。

「俺に謝ってもしょうがねぇだろうが……まあ……ツケは払ったようなモンだからこれ以上は言わねえがな」

 そう言ったバートンはテオの左腕を見て深々と溜め息をつく。
 千切れかけていたテオの左腕はしっかりと元の場所にある。
 ただ、その腕は黒い鱗に覆われていた。
 あの時、失血死寸前だったテオを救ったのはパルだった。
 千切れかけた腕を元の位置に戻して、失われた血液を補う為に魔力を注ぎ込んだのだ。
 結果、テオの身体は半分近く魔物になってしまった。



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