アイノカタチ-14
「落ち着け。その姿じゃ上手く動けねぇだろ?小さくなるとか、人間型になるとか出来ねぇか?」
「うぅ〜黒海の影響強すぎぃ〜」
外から受けるエネルギーを体内で上手く処理出来ない。
「ふむ……クラウディアはあんま鼻良くねぇしなぁ」
パルは暴れるのを止めて、鼻をヒクつかせながら顔を巡らせる。
「あのね、アッチとコッチからテオの臭いがする」
アッチは森の向こう、コッチは巨大な洞窟だった。
「コッチからは血の臭いもする……アタシ、コッチ行くね」
「血……ねぇ……ドジったかな……じゃあ、俺らはアッチに行くわ。頼んだぞ」
2ヶ所から臭いがするなら2手に別れた方が良い。
空からアッチ側に行ったバートンとクラウディアを見送ったパルは、臭いを頼りに洞窟へ足を向けた。
願う事はひとつ……臭いに引き付けられて他の魔物が来ませんように。
(アタシのなんだからっ!!)
パルは独占欲に支配され、暗い洞窟をズンズン進んだ。
激しく揺さぶられる感じに無理矢理覚醒させられた。
「あっ……痛ぅっ……」
覚醒と同時に左腕に痛みが走り、テオはうずくまる。
うずくまったまま視線を上げると、テオの上に巨大な何かが覆い被さっていた。
黒い鱗に包まれた巨大な蜥蜴か何かの腹の下に居るようだ。
どう見ても魔物……なのだが、特に恐怖は感じず落ち着くような逆に落ち着かないような、妙な懐かしさ……。
「……パル……か……?」
もしかして、と問いかけると鱗に包まれた脚がビクンと反応した。
「ああ、やっぱそうか……パルのオーラだ」
魔物の姿になっても変わらないオーラはパルのもの。
暖かくて落ち着くのに、少しざわめくような……テオにはそんな風に感じられる。
「……何やってんだ?」
テオは痛む腕を押さえて少し身体を捻った。
パルの脚の間から見えたものは赤々とした炎と、泥色のぬめったモノ。
「スライムか……」
テオの血の臭いに惹かれて来たであろうスライムから、パルが守ってくれていたらしい。
泥スライムの透けた身体中には、光る『核』がいくつも見えた。
「合体してんのか……厄介だな」
テオは腰に挿してあったサバイバルソードを抜いて、それを杖にどうにか身体を起こす。