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密約旅行
【熟女/人妻 官能小説】

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前編-7

(7)


 男と入れ替わりに部屋に入ってきた由里をすぐ風呂にさそい、布団を濡らした顛末を男の不始末にして話を作った。
「困っちゃう。布団でビール飲むんだから。寝られないわ」
「押し入れに別のがあるわよ」
「あら、そうなの?」
言われてから、そういえばたいてい4組くらいは揃っているものだと気がついた。気が動転していて頭がまわらなかった。ひょっとして辻褄の合わないことを言ったかもしれないと由里の表情を窺ったが、彼女は気が抜けたように目をとろんとさせて湯に浸かっていた。

 部屋に戻っても由里はいつもの調子ではなかった。
布団を新しいものに取り換え、知恵子が冷えたビールを注いであげるとようやく力のない笑みが返ってきた。
「どうしたの?疲れた?」
「ちょっとね……」
知恵子も一息ついてみると体が重かった。自分の失態であたふたとしていたので感じなかったのだが、考えてみると何度も絶頂を迎え、かなり体力を消耗しているはずだった。
(由里もそうみたい……)


「老人とは思えないね……」
知恵子が吐息まじりに言うと、
「老人じゃないよ。まだ挟まっている感じ……」
言われてみると確かに異物感がある。
「拡がってないかしら」
「そんなことないわよ。一時的よ」
「そうかな……」
由里は男の一物を思い出しているのか。……

「知恵……イッタ?」
「……うん……由里は?」
無言で頷いた。何回イッタのか、訊こうとしてやめた。
「あたし、あの二人目の人。なんだか奥に当たって変な感じだった」
その刺激で失禁してしまったのだ。

 由里は答えず、けだるい顔をして、
「寝ようか」
ビールを飲み残して立ち上がった。
「あんまり大きいのも考えものね」
由里は背を向けたまま、
「そうね。普通がいいかも……」
 寝室にはまだ臭いが立ち込めているかもしれない。知恵子は下着の上から股間にそっと手を触れて圧倒的な挿入感を思い出していた。そして夫に気づかれはしないかと本気で不安を抱いていた。


 臨時収入で値の張る銘酒を土産に帰宅したのは九時すぎ。
夫は喜んで、早速味見と言いながら飲み始めたが、知恵子は疲れを感じてすぐに風呂に入った。
 疲れのためだけではない。前回にはさほど気にならなかった不義の思いがどこかにへばりついているようで体を洗いながしたかったのだった。心の問題なのだからシャンプーでどうなるものでもないのだが、いうなればそれも気持ちというものだろう。

 湯船に浸かりながら陰部にそっと指を当てると岩を裂くような挿入感が甦ってくる。後ろめたさはそこから生まれてくるのだと思った。他の男の感触が残っている。
(忘れなければ……)
 遊びなんだから切り換えなければいけない。そうしないと夫婦に溝を作ることになるかもしれない。そうなったとしたら原因は自分にある。
(切り換えなければ……)
繰り返し思ってから溜息をついた。これだけのことをしておいて溝も原因もないものだと思ったのだった。
(ばれないよね……)
割れ目を撫で、自身に頷いた。

 風呂から出ると夫はすでに寝室に引き込んでいた。
(よかった……)
正直、ほっとした。
 荷物を大ざっぱに片付け、髪を乾かし、時間をかけて肌の手入れをした。夫に寝入っていて欲しかったのだ。
(今夜は会話を交わしたくない)
酒も飲んだし、その前にビールもあけているはずだからぐっすり眠っているだろう。息子は二階の自室から出て来ない。母親が家を空けることを快く思っていないようだ。前回もそれを感じたが、あえて言い訳をしなかった。
(もう大学生なんだから……)
たまに一晩くらいいなくたって自分で何とかするものだ。思いながら、ちょっと意地のような感情があったのはやはり知恵子自身の引け目の現われなのかもしれない。

 十一時をまわって、床に入った。夫は横を向いて枕に顔を埋めている。
(よかった……)
そっと布団を捲ってミノムシのようにくるまった。

「きゃっ……」
股間を圧されて跳ね起きた。夫の手だった。
「なによ。寝てたんじゃないの?」
「大きな声をだすなよ」
「だって、びっくりするわよ」
「そんなに驚くことないだろう」
「だって、寝てると思ったから」
(もしや、何か疑っているのでは……)

 夫は知恵子のパジャマを脱がしにかかっている。不安がよぎったが拒否するわけにはいかない。
「ああ……」
いきなり股を広げられ、口をつけられた。
「濡れてるよ」
確かに今日一日潤い続けていた。
「だって、あなたが刺激的なんだもの……」
やっとそれだけ言い繕うと、自ら大きく開脚して夫を煽った。急ぎたい。
「きて……」
夫は慌ただしく下を脱ぎ、そのつもりだったらしく用意してあったコンドームを着けると押し込むように入ってきた。
「うぐ……」
知恵子が安堵したのはペニスの手応えだった。長年睦み合った感触は失われてはいない。
 
 安心すると夫がどう感じているのか気になった。脚を絡め、出来る限り締めて呼び込んだ。夫は声を押し殺して激しく打ちつけ、間もなく果てた。
「ああ、いいわ……」
知恵子は達していなかったが、夫にしがみついて下半身をひくつかせた。演技だったが必死に応じるしかない。心地よさを感じてもそれを追い求める気分ではなかった。
 夫は処理を済ませるとそのまま布団に潜り込んだ。それはいつものことなのに、知恵子には何か疑念を抱いているような冷たさに感じられた。


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