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密約旅行
【熟女/人妻 官能小説】

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前編-2

(2)


 自分の体が変化したのは、むろん新たな『男』を知ったからだが、性感の網が全身に広がったもう一つの要因は由里との絡み合いだったように思う。
(あんなに温かくて柔らかい快感は感じたことがない……)
おそらく女同士だからこそ生まれる特有の錯綜があるのかもしれない。そう思わざるを得ないほど新しい感覚の心地よさであった。

(初めはふざけ半分だった……)
「舐めてあげようか?……」
昂ぶった気持ちがくすぶっていて言ったものの、『セックス』を考えていたわけではない。きっと由里は疼いて持て余しているだろうし、自分も体が熱かった。
「お風呂行こう。ビールは後回し」
乗ってきた由里も、まさか二人して『行き着く』なんて考えてもいなかっただろう。

 はしゃぎながら露天風呂に浸かっていると、由里が体を寄せてきた。
「ふふ……」
自然な笑顔だった。知恵子の方からも彼女に擦り寄り、
「いいお湯ね」
「ほんとね」

(あ……)と思ったのは彼女の手が腰をさすった時である。ぴくっと反応してしまった。直後、花弁の奥からじわっと潤いが絞り出されてきたのだった。
(いやだ……感じる……)
呼応するように知恵子の手も由里に巻きつき、見つめ合う二人の瞳は笑っていなかった。
 露天風呂には他の客はいない。知恵子は由里の乳房を手で包んだ。
「由里……何だか……感じてきちゃった……」
「あたしも……知恵……」
辺りを窺い、引き寄せられるようにキスをした。
「うう……」
舌が入ってくる。互いの体をやさしく撫でながら舌を絡め合った。

 内湯で物音がして慌てて離れた。体の熱は湯のせいばかりではない。とりわけ秘部は熟れた果実のように充血の疼きに熱せられていた。
「知恵、濡れちゃったわ……」
訴えるような由里の視線を受けて、知恵子は頷くだけで言葉が出てこない。
「そろそろ、出ましょう……」
それだけ言うのがやっとだった。

 部屋に戻ってからの二人は、あらかじめ手順を決めていたかのように交互に愛撫を交歓した。
 同性だから感じる加減がわかる。抱擁も互いを確かめ合うように掌が囁きとなって肌を行き来する。
「あうん……」
乳首の含み方も実にまろやかだ。だから快感もゆっくり上昇してゆく。男はちょっと雑なところがある。
(今度はあなた……)
「知恵、お願い……)
そうして二人して昇っていった。

 背中のほんの一部分に思わずのけ反って呻いてしまった『壺』があった。知恵子の反応を見逃さなかった由里は間を置いてそこを舌先で突いてきた。
 女同士の69……。これも体を知っている女の舐め方だった。貪るような男の激しさではない。蕾を捉えるタイミングがたまらない。

 地熱のように心底体が熱を帯びてきて、最後は由里が、
「くっつけたい……」
喘ぎながら体を横向きにして片脚を上げたので、知恵子も脚を開いて交差させた。少しずつ移動しながら濡れそぼった割れ目を押し付け合った。男女なら松葉くずしということになろうか。

 甘くとろけるような、緩やかな絶頂が襲ってきたのは間もなくのことである。
「由里……」
ほぼ同時に彼女も知恵子の名を呼んだ。
「知恵!いくわ、いく!」
二人で腰を振り、合わせ目を擦りつけた。この時は激しい。
(何という幸福感……)
意識が遠のいていく中で知恵子が思ったことだった。

 その後、二人は抱き合って眠った。夜中に何度か目が覚め、由里がそばにいることを確認すると何だかほっとして、抱き締めてふたたび眠りに就いた。

 その体験は深く心と体に刻まれたと知恵子は思う。それは由里も同じだったようだ。十日ほどして彼女から電話がきた。土曜日の夜、泊まりがけで遊びに来ないかという誘いである。
「誰もいないの。たまにはうちへ来ない?」
そのくぐもった声は知恵子の気持ちを騒がせた。それだけで目的は伝わった。

 夜、ホテルのように体を合わせた。時間をかけ、二人とも満足を得て夜中までビールを飲んだ。
「知恵、あたし、レズじゃないのよ」
「あたしだってそうよ」
念のため言い合ってから、顔を見合せて笑った。
「でも、男とちがう気持ちよさがあるよね」
知恵子が言うと由里も頷いて、
「時々しようよ。ね?」
「うん、時々……」
快楽のパターンはいくつあってもいい。この夜、由里と再度抱き合って知恵子が思ったことである。

「またツアーがあったら、知恵、行く?」
知恵子が即答せずに笑って答えを濁したのはそれだけで肯定したようなものだった。自分から言い出せなかったのでほっとした。
(ともかく、新しい世界がある……)

「連絡するから、その時は付き合って」
「うん、いいよ」
由里は知恵子の気持ちを読んだのか、返事のしやすい言い方をした。
 欲望は尽きないものである。常に終着駅のない列車のように走り続けている。ひとときの満足は置き去りにして新たな景色の中を進んでいく。


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