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LADY GUN
【推理 推理小説】

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知能犯-11

 静香と若菜は泰明の自宅に到着した。応対したのは泰明の妻、倫世だった。穏やかそうで上品な夫人だった。
 「高田から伺っております。道彦の部屋は亡くなってからそのままの状態になっております。どうぞこちらに。」
案内する倫世に静香が言った。
 「奥様、申し訳ございませんがお仏壇はどこでしょうか…。」
 「道彦の、でしょうか?」
 「はい。」
倫世は一瞬動きが止まったかのようだった。しかしすぐにやんわりとした笑みを浮かべ仏壇のある和室へ案内する。
 静香は仏壇の前に正座し道彦の遺影を見つめてから線香をあげ手を合わせ黙祷した。
 (命を奪ってしまいゴメンナサイ。)
犯罪者としての道彦には何も念じなかった。ただ自分が命を奪ってしまった事だけを謝罪した。
 続いて若菜も線香をあげ手を合わせ黙祷してからいよいよ道彦の部屋へ向かう。
 部屋は整然としていた。とても犯罪者の部屋とは思えないほどの立派な部屋だった。
 「お掃除はしておりますが部屋の物には手を触れておりませんの。泰明が絶対触るなと言っておりますので。」
恐らく息子の野蛮な姿を見せたくなかったのだろう。泰明の、妻に対する優しさだと感じた。
 「どうぞ何でもお持ち下さい。捜査のお役に立てるなら私は構いません。女性としてレイプは許せない行為です。早く事件を収束させてくださいね?」
 「はい。ご協力、ありがとう御座います。」
 倫世は部屋を出て行った。
 「パソコンと外付けハードディスクを運んで?あとはSDカードとか全部よ?疑わしき物は全て。」
 「はい!」
机の引き出し、本棚を全てチェックする静香と若菜。1時間かけて遺品を確認、そして車に運んだ。
 「ご協力感謝します。ありがとうございました。」
 「いいえ?早く誘拐された婦警さん達を助けてあげて下さいね?」
静香は力強く言った。
 「はい!」
数々の証拠品を手にして静香と若菜は高田不動産へ戻って行った。

 静香達が家から出て少し経った頃、倫世は道彦の遺影を見つめていた。
 「道彦…、ごめんなさいね?あんな女をここに連れて来てしまって。全く忌々しい。図々しい女ね。良くぬけぬけと来れたものだわ。私に対して謝罪もない。本当に失礼な女…。」
道彦の遺影に反射した顔はまるで般若のような恐ろしい顔だった。
 「皆川静香…地獄に落としてやる…。あなたの大事な弟があの女を地獄に落としてくれる。そしたら道彦、自分の手であの女に復讐してやりなさいね?フフフ…くくく…ハハハハ!」
けたたましい笑い声が高田家に響き渡った。


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