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LADY GUN
【推理 推理小説】

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知能犯-10

 「数ある動画の中で一際存在感のある男がいる。その男は殆どの映像に映っていて、そいつが恐らく覆面集団のトップだろう。全ての指示が彼から出ているしね。道彦のパソコンの中に神誕生というフォルダーがあったんだ。その中には一つの動画が保存されていた。そのファイルの名前は『Birthday of god』と記されていた。気は進まなかったが中身を確認したところ、どうやらその覆面集団のトップの男が初めてレイプをした時の映像らしかったんだ。彼はそこからレイプへの道を歩む事になったんだろう。他のファイル名を見ると至る所に神という名前がある。恐らく道彦を始め大勢の野蛮な男達が彼を神と崇め非道な行為をし続けたんだろうな。」
 「もしかしてその動画は美山静香という刑事が暴行されているものですか…?」
 「ああ。良く分かったね。」
 「警察の調べであの一連のレイプ事件の始まりは美山静香という刑事から始まった事は分かっていました。撮影された動画も発見され私も見た事があります。確かにその動画をたくさんの共犯者が所持していた事も調べで分かっていました。その動画を道彦さんも持っていたんですね?」
 「ああ。他にもたくさんの動画があったよ。外付けハードディスクなどにも保存されていて、ファイルの数は1000を超えているだろうな。」
 「そ、そんなにですか!?警察が押収したのはせいぜい10本ぐらいです。」
 「そんなのは氷山の一角だろう。しかし途中から神と呼ばれていた男の姿がなくなっていたんだ。代わりに道彦が中心に徳山、中西、喜多が中心だったであろうR4の姿が目立つようになり、中でも道彦がリーダーを務め全権を握っていたようだ。まぁ覆面をしているからはっきりとは言えないが、恐らく間違いないだろう。」
 「何かのタイミングでリーダーが変わって神と呼ばれた男の姿は消えた…。」
 「ああ、突然いなくなったよ。」
考え込む静香。そして思い出したかのように質問した。
 「覆面集団の中に小学生らしき少年の姿を見ましたか?」
 「少年…、いたよ。」
 「本当ですか!?」
 「ああ。神と呼ばれた男が消える直前頃から姿を見せ、消えた後は道彦達と行動を共にしていたようだ。恐らく喜多は知っているんじゃないのかな?中西や徳山も。」
 「その動画をいただけませんか!?」
大きな物証を前に静香は興奮気味に立ち上がる。
 「もちろんだ。捜査の役に立つなら好きに持って行ってくれ。全部自宅に保管してある。車と運転手を用意するから取りに行ってくれるか?自宅には連絡しておくよ。」
 「ありがとうございます!」
静香と若菜は泰明の用意した車に乗り泰明の自宅に向かった。車中、静香は捜査の大きな進展を齎すであろう証拠の発見に胸を踊らせていた。

 その頃、一人社長室にいた泰明。ノックもせずに一人の男が入ってきた。
 「フフ、これで良かったのか?」
 「うん。バッチリだぜオヤジ!」
そう言って親指を立てた男…、それは静香のみならず警察が逮捕すべき一番の男だった。
 「いい女だなぁ、皆川静香は…。ヘヘヘ…。」
 「道彦の怨みを隠すので大変だったよ。」
 「まぁ、最高の形で復讐してやりますからお楽しみに。」
陰湿な笑みを浮かべた。


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