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LADY GUN
【推理 推理小説】

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知能犯-1

 因縁の山奥の倉庫に急ぐ静香。犯人に心当たりはないか必死で考えたが特定には至らなかった。現場に近付くにつれて恐怖でも緊張でもない心臓の鼓動の激しさを感じた。
 (今の私だったら上原さんを犠牲にする事なんかなかったのに。それに高田を殺害せずに済んだ。この事件も起こらなかったかもしれないのに…。)
後悔ばかりが心に浮かぶ。そしていよいよ現場に着いた。人の気配はない。車を降り慎重に倉庫を取り囲み様子を見る刑事達。静香は突入のゴーサインを出した。
 一斉に突入する刑事達。扉を開け中に入り見渡すと、構えていた拳銃を下ろした。後から静香が扉付近から中を確認する。
 「こ、ここじゃない…」
埃にまみれた倉庫内。しばらく人の出入りした様子はなかった。一応刑事達が中を調べたが、特に手掛かりはなかった。
 一通り捜査を終え撤退する刑事達。静香は自分を守り正芳が命を落とした、まさにその場所に立っていた。
 目を閉じる静香。あの時の光景が頭の中に蘇る。正芳の最後の瞬間を思い浮かべると涙が出てきた。そして体が震え出す。自分でもどうしようもなく震えが止まらない。時が過ぎ、これだけ立派に成長したのにも関わらず、あの時の事が密かに静香を苦しめている証拠だった。この場所にいるのが辛い。静香はボソッと囁いて倉庫内から飛び出した。
 「上原さんゴメンナサイ…」
あの時以来、初めてこの現場に来た静香だが、自分の心に残る傷の大きさを思い知らされた結果になってしまった。
 静香は署に帰り状況を報告し、屋上で1人、空を眺めていた。
 (あれから必死で頑張ってきて、今の私の姿なら上原さんに見せても恥ずかしくないぐらいになったと思ってたけど、全然ダメ…。私全然変わってない。まだあの時の事を引きずってる…。)
再びあの現場に立ち動揺した自分にショックを受けた。どうしたら後遺症を払拭出来るのかまるで答えを見いだせそうもない。
 (とにかく自分の仕事をしっかりとこなして若菜の模範になる事を頑張る事しかできないな…。がむしゃらに走らなきゃ!)
立ち止まると前へ進む勇気が消えてしまいそうだ。静香は自分の頬をパンと叩き仕事に戻った。


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