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LADY GUN
【推理 推理小説】

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昼の静香と夜の静香-1

 毎日の捜査の中、麻薬売買や麻薬所持で逮捕される容疑者が日に日に増えている。静香は麻薬、覚醒剤、脱法ハーブ等の違法薬物取締の職務についている。最近目立つのは若者やごく普通の主婦の逮捕者が増えている事だ。素人が軽い気持ちで違法薬物に手を出す傾向にあり、容疑者は逮捕できるものの、肝心の組織まではたどり着けない状況が続いている。しかし根気良く悪の芽を摘む作業を警察は続けている。
 「あ〜、終わったぁ…」
背伸びをしながら大欠伸をする若菜。今日は外国人の売人を逮捕。とぼけているのかどうか分からないが日本語があまり通じずに偉く骨を折った。
 「わざわざ日本まで来て麻薬なんて売らなくてもいいじゃないですかねー?楽して金稼ぎしようなんて考えちゃいけませんよねー?」
疲れのストレスからか、刑事としては少々乱雑な言葉を口にした。
 「違うよ若菜。彼らだって日本に麻薬売りに来た訳じゃないでしょ?もっともっと大きな夢を持って日本に来たはずよ?日本に来て麻薬売買しなきゃならない状況に引き込んだ人間が必ずいるはず。まずはそいつらを捕まえないと何も変わらない。私達は悪い事をした人間を逮捕すればいいってもんじゃないわ。逮捕して罪を反省してもらい次こそまともな人生をやり直してくれてこそ手錠をかける意味があるのよ。その人にだって大切な家族がいる、恋人だっているでしょう。その人たちを悲しませない為にも私達がいるのよ?怒りや憎しみだけで手錠をかけちゃダメ。その人の人生を背負って手錠をかけるんだから責任重大なのよ?何気にガチャって手錠かけるのは絶対しちゃいけない事よ?」
 もう夜の22時だ。しかも捜査でかなり疲れているはずなのにも関わらず凛としている静香に感服する。
 「尊敬しますわぁ…」
 「あのね?もう…。もっと刑事らしく、女らしくありなさいよ〜。」
 「はーい。」
 「ハァァ…」
先が思いやられる。しかし人間的には若菜の事は好きだ。人懐っこく可愛らしい。何より自分を慕ってきてくれる所がたまらなく可愛い。出来れば刑事としてではなく普通の人生を送り幸せに暮らして欲しいとさえ思う。しかし刑事になったのは彼女自身の意志だ。なら彼女の意志に応えるまで。若菜を一人前の刑事に育て上げる強い決意を抱いている静香だった。
 「じゃあそろそろ帰ろうか。明日も早いしね。」
 「はーい!」
言動は軽いが、若菜はどんなに帰りが遅くなっても文句や不満は全く口にしなかった。そういう事を口にしたらこっぴどく怒ってやろうと常々思っていた静香だが、その機会は未だに来ていない。
 更衣室で帰り支度する2人。
 「ねぇ若菜?」
 「何ですか?」
 「帰り遅くなるの、嫌じゃないの?」
 「えっ?別に…。だってお父さんも毎日遅かったから刑事ってそんなもんだと思ってますから。てか、お父さんはもっと遅かったし。」
 「そっか〜。(お父さんの背中、ちゃんと見てたのね…。)」
嬉しくなってしまう静香。また一段と若菜を可愛く想ってしまう。
 


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