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女子大生 成宮恵理
【女性向け 官能小説】

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女子大生 成宮恵理-2

「おーい!奈々ぁ!早く開けてくれよぉ!」


そんな声と共に、ドンドンドンというドアを叩く音が聞こえる。

恵理の部屋のドアではない。

隣の、奈々の部屋のドアを叩く音だ。

そしてドアを叩きながら大声を出しているのは、その奈々の彼氏である橋川悠一郎だ。


「あれ、いねぇのか?」


悠一郎はそんな事を呟きながらまたドアを叩いて奈々の名前を呼んでいた。

恵理はなぜ奈々が部屋から出てこないのか、その理由を知っていたが、しばらく放置したのち、しょうがないなぁと立ち上がり、自分の部屋から顔だけを出して奈々の部屋の前に立っていた悠一郎に声を掛けた。


「奈々なら今日から実家に帰ってるから居ないよ。」


悠一郎は恵理の声に反応して振り向くと、思い出したように目を丸くした。


「あっ!そうか、そういえばそんな事言ってたな、今日からだったのか。うわぁ、しまった、メールすればよかった。」


手を頭に当てて嘆く悠一郎。

髪や服は雨のせいでずぶ濡れ状態、手にはコンビニの袋とレンタルDVDの袋が持たれていた。

今日も奈々の部屋に泊まっていくつもりだったのだろう。


「あ〜ぁ、どうしようかなぁ。」


悠一郎は何やらわざとらしくそう言って困り果てたような表情をしてみせている。

しかし恵理はそれを見ても、私には関係ないといった様子でそのまま顔を引っ込めてドアを閉めようとする。

が、悠一郎はそんな恵理を慌てて引き止めた。


「あっ!ちょ、ちょっと待って!」


「何?」


「冷たいなぁ、恵理は。」


「え?何が?」


「いやだって俺ずぶ濡れだし、この雨だよ?」


「だから何よ。」


「あれ、なんか怒ってる?」


「別に……もう、だから何が言いたいの?」


「いやこの雨だし、少しの間だけ雨宿りさせてくれないかなぁ……なんて。」


「私の部屋に?」


「そう、ダメ?」


「……駄目だよ、そんなの。」


「えーなんでさ?前はよく奈々と3人で恵理の部屋でも遊んでたじゃん。」


「それは……前まではね。でも今は違うじゃない、その……色々と。」


「あ、もしかして奈々に気を使ってるのか?そんなの気にしなくていいのに。俺が恵理の部屋に入ったからってアイツなんとも思わないぜ?確かに嫉妬深いところあるけどさ、恵理なら別だよ。俺達の仲じゃん。」


確かにそうかもしれない。

奈々は悠一郎から恵理の部屋で雨宿りをさせてもらったと聞いても、きっと心配も嫉妬もしないだろう。

なぜなら3人は少し前まで凄く仲の良い友人だったから。

男女の友情は成立しないなんてよく聞くけど、少なくともこの前までは成立していた。恵理はそう思っていた。

同じ大学で知り合った3人。

しかも偶然にも恵理と奈々は同じアパートの隣同士。

だから悠一郎はよくこのアパートに遊びに来ていた。

ある日は奈々の部屋で3人でゲームをしたり、ある日は恵理の部屋で鍋パーティーをしたり。

男とか女とか関係なく、まるで兄弟姉妹のような。そう、確かに3人は親友と呼んでもいい程仲が良かった。

しかし、その関係がある日を境に変わってしまった。

いや、崩れてしまった≠ニ表現してもいいかもしれない。

恵理は奈々から初めてそれを聞かされた時、確かに心の中の何かが崩れていくのを感じたのだから。


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