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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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クラスタ-6


ぶわっ

 放り出されたテオが地面に激突する瞬間、魔法が間に合った。
 痛みを覚悟したテオだったが、ふわりと浮いた身体に驚きつつも直ぐに事態を把握する。

「サンキュー」

 くるりと身体を捻って地面に降りたテオは、再び蛇に向かう。
 ぶはあっと息を吐いたノアは、ドキドキと落ち着かない心臓に手を当てて息を整える。

(こ……恐かった……)

 この手に人の命がかかっていると思ったら、身体がひきつった。
 上手く魔法が発動出来たのは奇跡かもしれない。
 蛇に向かったテオだったが暴れる巨体に近づく事が出来なかった。

「クソッ」

 舌打ちしたテオの頭上からメキメキと音がする。

「テオドア!」

 ランスの声に慌てて頭上を見上げると、そこには巨大な口があった。

 妙に艶かしいピンク色の口、鋭く尖った無数の歯、糸を引く唾液……人が3人はすっぽり入る位の大きさのそれが、テオの目の前にある。

「ま゛じかよっ?!」

 咄嗟に横に転がるもチロチロ動く細い舌がテオを的確に追いかける。

(食われる?!)

 途端にテオを恐怖が襲った。
 ザアッと全身から血の気が引き、足がガクガク震えて身動きが取れなくなる。

その時

「伏せろ!!」

 巨大な口の更に上から澄んだ声が響いた。
 拡声器か何か使っているのか、その声は大きくその場に居る全員に聞こえ、全員その声に従い地面に伏せる。

「真! 捌!」

 魔法を発動させる呪文と共に、シュンシュンと空気を切る音が耳に届いた。
 何だ?と思い顔を上げたテオの目の前に、先程の口がズシャッと落ちる。

「ヒッ」

 無様に腰を抜かしたテオはそのまま尻餅をついた。
 目の前の口は重力に従い、ゆっくりと閉じていく。
 口を閉じたそれは予想通り蛇の頭だった。
 チロチロ蠢いていた舌が口の端から力無くはみ出ている。
 巨大な目は何色だったのだろうか……今は真っ赤に染まっていた。

「ヒ は あ」

 喉が張り付いて息をする度に情けない音が出る。
 ガチガチする音が自分の歯だと気づいたテオは、震える手で口を塞いだ。

 その間も空気を切る音と、ズンと地面に響く音は続いていた。
 テオは腰を抜かしたまま周囲を見渡す。



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