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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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クラスタ-3


 パルが物凄く強かったりすれば、逆に敬遠して魔物は寄って来ないのだが、パルは魔物の中では中級の下辺りに属するらしい。
 よって下級魔物や、頭の悪い中級魔物が良い獲物として寄ってくる。
 だからパルは出来るだけ襲われないように魔力を抑えているのだが、クラスタ要塞に近づくにつれて『黒海』の影響も強くなり抑えきれない。
 そんなワケで微かなパルの魔力を嗅ぎ付けた下級魔物が次から次へと襲って来ている。

 そのパルはバトルには参加せずに、羽馬と隠れていた。
 バトルになんか参加したら血がたぎってしまう。
 出来るだけ大人しく、出来るだけ冷静に……クラスタ領地に入ってからのパルはすっかり気配を消してしまい、そこに居るのに居ないような存在感だ。

「パル」

 そっとかけられる声にパルは顔を上げた。

「終わったぞ」

 あちこち包帯を巻いたテオがちょこんとパルの前にしゃがむ。

「大丈夫か?」

 しっとりと汗ばんだパルの額に手を当てたテオは、妙に冷たい体温に顔をしかめた。

「こっちのセリフぅ〜」

 パルは真新しい包帯を指でつついて苦笑する。

「ピィ、お疲れさま」

 テオはパルを無視して横にあるミントグリーンの身体を叩いた。
 パルと同じくピィも『黒海』の影響を受けた。
 彼(?)の方は身体が大きくなっただけ。
 1メートル無かった体長が、今や3メートル越えだ。
 そのピィは羽馬とパルを守るように辺りに気を配っていた。

『ピ』

 どう致しまして、と言うようにピィはテオに顔を寄せ、顎の下を見せる。
 ご褒美に掻いてくれ、と催促しているのだ。
 テオはピィを掻いてやりながらパルに顔を向ける。

「要塞には結界があるらしいから、そこまでの我慢だ」

「うん」

 パルは大きく息を吐いてみたが、口から炎が出た。
 慌てて塞ぐもテオとピィにばっちり見られており、笑う2人の中気まずい思いをするのだった。

 その様子を残りの3人は少し離れた場所から覗いていた。

「さすが、と言うべきか何と言うか……」

 ランスは苦笑しながら指で頬をカリカリ掻く。

「さすが、で宜しいかと思われますが?」

 ノアがランスを見上げつつ答えた。



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