投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 121 アネクメネ・オアシス 123 アネクメネ・オアシスの最後へ

クラスタ-2


 魔物の下から救い出されたテオは、ノアに浄化の魔法をかけてもらい綺麗になる。
 倒した魔物は軽く土を掛けて放置。
 その内、動物や肉食植物や魔物などが処理してくれるだろう。

「キツくなってきたなぁ」

 軽い傷をリュディに治療してもらいながらテオは呟いた。
 ノアの魔法ならちょちょいで治るが、魔力は出来るだけ温存しておきたい。
 それにリュディの調合する薬は天下一品。
 命に係わる重傷以外ならリュディの薬で充分だ。

「いやいや、大分腕を上げたねぇテオドア」

 ランスは弓を肩に置いてヘラヘラと歩み寄る。

「ランスもな……へっぽこ射手だったクセに」

 昔は在らぬ方向に矢が飛んでいたものだが、魔物の『核』を狙い撃ち出来るなんて大したものだ。

「ははは、ありがとう」

 ランスがひょいっと左手を動かすと、手の中の弓がシュッと消える。
 消えた先は左中指に着けている指輪。
 その魔法の指輪に弓を入れてあるのだ。
 ちなみに、右中指にも同じような指輪があり、こっちには矢が入っている。

「はい……終わり」

 腕の切傷に包帯を巻いたリュディが、ぽんとそこを叩いて合図を送った。

「サンキュー」

 テオはにかーっと笑ってお礼を言うと、腕をぐるぐる回す。

(……やっぱり可愛い……)

 恋愛感情は別にして、テオの仕草ひとつひとつに萌えてしまう。
 可愛い弟といった感じだ。

「パルはどんな?」

 ぐっぐっと屈伸したテオはリュディの顔を覗き込む。

「……必死……って感じ」

 クラスタ領地に入ってからパルは変わった。
 まず、固形物を食べれるようになった。
 何か美味しそう、と果物から始まり、パンや干し肉……今や好物は肉汁滴る串焼き肉だ。
 ノアによると、クラスタの海に在る『黒海』の影響ではないかという話だ。
 『黒海』には魔力のエネルギーが濃く溶け込んでいる。
 そこから溢れるエネルギーが魔物に力を与える。
 そのエネルギーは人間の使う魔力とは質が違うらしく、ノアにはあまり影響は出ないらしい。
 そして、パルが何に必死なのかと言うと、自分から漏れ出す魔力を抑えるのに必死なのだ。
 以前、ランスが言ったようにパルは魔力を抑えるのが苦手だった。



アネクメネ・オアシスの最初へ アネクメネ・オアシス 121 アネクメネ・オアシス 123 アネクメネ・オアシスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前