クラスタ-15
「更にお前が産まれて……あの2人が育ててくれて……俺、凄え幸せもんだ」
テオの頭をぐしゃぐしゃにして笑うバートンだったが、テオにはイマイチ良く分からない。
「母さんの事……好きなんだろ?」
「ああ、カリオペ似のお前の目も好きだぞ?」
「だったら父さんから奪おうってならねぇ?」
「言ったろ。チビも好きなんだよ。2人まとめて好きなんだ。俺を見てるアイツらが好きなんじゃなくて、アイツらがお互いを見てるのが好きなんだ」
「……分かんねぇ……」
「ははっだろうな。俺の恋愛感情はちょっと壊れてんだ。何せ初めて愛した女をこの手で殺して満足するような男だからな」
「マジで?!」
「しまった……」
勢いで余計な事まで言ったバートンは、横を向いて紅茶を啜る。
「聞きたい聞きたい」
「だあめ。(こんな事話したなんてカリオペに知られたらマジで殺される)」
バートンは背中に冷や汗が流れるのを感じながら、身を乗り出してくるテオの頭を押さえた。
「お前こそどっちなんだよ?」
「は?」
「しらばっくれんなって。緑金髪の姉ちゃんか?魔物嬢ちゃんか?」
どうやらどっちがテオの女なんだと聞いているのだろうが、テオは眉を寄せて答える。
「どっちがって……別にどっちもそういうのと違うし……」
確かに2人共ヤッたが、パルは食事だしリュディはリハビリだし……恋愛絡みじゃヤッてない。
正直、テオ的にはそこに不満があるのだが、世の中にはヤリたくてもヤれないモテない男は沢山居るのだ。
贅沢を言ってはいけない。
「ふうん……お前も複雑だな……」
変な所が似てしまったか、とバートンは顔をしかめた。
「タイプなのはリュディだけど、ヤッてみたら何か違ったっつうか……一方的に理想押し付けて一方的に幻滅した感じ。パルは……魔物だから話にならねぇ……まあ、別にあの2人のどっちかと結婚しなきゃいけないワケじゃねぇしな」
「まあな、まだ17歳だ。先は長い」
「そういう事」
それからテオとバートンは、パーティーの準備が出来るまで2人で話に華を咲かせていた。